
長崎の原爆資料館の隣りにある、長崎原爆被爆者追悼祈念館。
とても静粛な気持ちになる、祈りの空間。
こちらには、被爆され亡くなった方々の名簿が納められている。
そこで、週末、被爆体験を朗読で読み続ける活動をされている
ボランティアの皆さんがおられることは、以前もここに書いた。
おかげで、そこから長崎への理解も深まり、そして平和への
願いもより一層強いものになった。
2月に開催した長崎コンサートでも、この活動のことをお伝え
させていただいたが、このような地道な口コミ活動が必要だと
ずっと思っている。
長崎に行ったらなるべく寄りたいと思っているが、たまたま
週末と重なり、こちらを訪ねると看板が立っていた。
あ、今日もやっておられるんだ。と一歩中に入ると、ボラン
ティアの方たちが、
「体験談聞いていかれませんか?ほんの2,3分です」
と言いながら、来訪者に声をかけられる。
「はい、聴かせていただきます」と椅子に座ると、他の
来訪者の方も着席される。
そこからボランティアの方は、被爆者から寄せられた体験談
のひとつを読まれた。この記念館に保存されている貴重な
体験談。
兄弟姉妹が被ばくして次々と亡くなり、そしてその悲しみの
なか、焼け跡で遭遇した死体があまりに惨い状態で・・・でも
自分の家族とは思わず、そのまま移動してしまい・・・。
あとでその場所から、自分の妹であったことを知り、長年
懺悔の気持ちで生きてこられた・・という話が、その情景が
目に浮かぶような語り口調で読まれる。
涙なしには聴けない・・・。
被爆者の方々から寄せられた体験談を人々に読み聞かせながら、
絶対に戦争の原爆の恐ろしさをリアルに伝え、平和の大切さを
伝え続けておられる方々。
この方たちの取り組みに、改めて頭が下がる。
朗読の合間には、被爆爆心地周辺の当時と今の写真を見せながら
被害の様子なども説明される。以前伺ったときは
なかったけれど、今回はスライドも用意されており、伝えることへの
工夫をされ続けていることを感じる。
ここで朗読された内容が、今もよりリアルなものとして浮かび
上がる。そして目の前の世界の愚かなる戦闘の報道にため息が出る。
知らない人が多い、多すぎるから過ちは続く・・・。
この永遠の会の取り組みは、
昨年ノーベル平和賞を受賞された被団協の活動とも重なる、
本当に心うたれる地道な活動。

写真の右下に見える黒い本には、皆さんが朗読されている被爆体験が納められている。
外に持ち出すことができない、ここだけで閲覧でき、ここだけで聴くことができる。
この永遠の会の取り組みに、心から敬意を表し、そして応援していかねばと改めて
思う。
週末、長崎に行かれる機会があったら、ぜひこちらに立ち寄ってみていただけたら。
戦後80年。実際に体験された人たちは残り少なく、その方たちが遺されたメッセージを
受け取り、伝える努力をしなければ。
長崎や広島を訪ねるときだけではなく、日頃からその思いを忘れずにいないと・・・。
読み、語り続ける。
この発信には、心からの平和への願いが籠っている。
被爆体験記の朗読「永遠の会」 – 国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館