わが人生を振り返ると・・
ふるさと岐阜18年、京都12年、東京23年、そして名古屋6年。これで年齢とも
計算が合うはずであるが、そこに住んだ年数はこのとおり。
ということは、わが人生、東京で暮らした時間が一番長いことになる。
長さでいけば、私のふるさとは、東京の神楽坂ということになる。
名古屋へ引っ越したことを後悔する日はないが、それでも神楽坂は本当に懐かしい。
初めて自分で選んで一人暮らしを始めた京都と同じく、転勤とはいえ、
神楽坂住まいも自分で選ぶことができた。ラッキーな時代であった。
ということで、
順番と時間の長さは別として、京都も神楽坂も、自分にとっては第2の故郷。
その神楽坂でお世話になっていた方たち・・。
その中で、ずっと気になっていた方のひとり。
神楽坂では3回ほど引っ越したが、最後の住まいでお世話になった家主さん。
当時お聞きするところによると、
若い時に新潟から家族で東京に出てこられて、
とにかく働いて、都会での地盤づくりをされてきたとのこと。
ほんとうに働き者でいらっしゃった様子はその表情からもよくわかった。
そして、新潟出身とはまたご縁があるな~と驚き、新潟出張で仕入れた
いろんなものをお持ちすると喜んでおられた様子を思い出す。
また、お花も好きで、
コンサートでいただいた花もお裾分けすると、これまたお喜びで・・。
どうも最近見かけないな・・・と気になっていたのが引っ越す前あたりから。
とにかく元気で、神楽坂でよくみかけていたのであるが、見かけなくなった。
それから数年。コロナもあり、さすがにどうされたかと・・・。
先週、神楽坂を通った際に、その方のご家族が経営されているお肉屋さんに
立ち寄って、久しぶりにコロッケとスコッチエッグを購入する。
住んでいた頃は大好きだった、総菜のひとつだ。行列ができるときもある人気店。
「お久しぶりです。お元気ですか?おばあさん、どうされています?」
顔見知りであったお店の方に聞いてみる。
すると、残念な答えが返ってきてしまった・・・。
2年前に亡くなっていたとのこと。なんと自分の母親と同じ頃だ・・・。
そうなんだ。元気な頃のことを思い出すと、信じられないのと
残念なのと・・やはり、自分の親と重なった・・。
それを聞いたら、受け取ったコロッケが入った袋がずしっと重く感じられた。
その方を思い出しながら、戻ってから神楽坂のコロッケとスコッチエッグを
いただいた。数年ぶりに味わうこの味。
皆さんが上京して、ご家族ではじめた商売。そのひとつがこのコロッケか。
と思うと、なんだか胸がいっぱいになってきて、味がわからなくなって
しまった。
神楽坂での思い出は山ほどあるが、とくにこのオーナーさんの存在は
強烈で、忘れることはない。
どんなに元気な人であっても、いつか「思い出」になってしまう。
人の世の常か・・・。さみしいけれど。
これからは、コロッケやスコッチエッグをいただくことで、
思い出させていただくとしよう。
また近いうちに寄りたくなりそうだ。
そして、いただくたびに、あの元気な姿が自分の親と重なって
浮かぶことだろう。
2021年に旅立った人たち・・・。なんとも言えないご縁・・。
働き者のあっぱれな人生に、心から敬意を表し、そして
ご冥福をお祈りする。