ある家具販売会社。大手である。ひと昔は会員制の個客接客が売りで、あの広大な売り場スペースは
他が真似できない強みであった。
家具はやっぱり現物を、それなりの空間で見て確かめるのが一番。
という点では、よく考えられた販売方法であったのかもしれない。
しかし、ライフスタイルの変化に伴い、家具のありよう、選ばれ方も変わってきた、。
家具は一生ものという高級イメージから、今や雑貨インテリア感覚で選ばれるものであり、
品質はそこそこでも、なんとなくかっこいい輸入家具が好まれるようになり、
通販でも買えるようになり・・・。
引っ越し時や、何かの節目のタイミングで買い替えもされたり、
昔の家具のイメージとは大きく変わってきた。
15年以上前、新宿の大ショール―ムがあるそのお店には何度か行った。
そして一度家具を購入したこともあった。
大切に使った。修理も何度かお願いした。そして、今も使っている。
だが、仕事で使うもの以外、使うものにせよ、
消耗品でなければ、そんなに頻繁に買わない。
昨年の引っ越し時には一部、家具を見直したが、
結局、新品をあまり買わず、リユース(正確にはよりきれいに、
補修されているので新古品のようだ)品を選んだ。
そのときも、その大手企業の名古屋のショールームを利用、
そこで若い販売スタッフに対応いただき、好感をもちつつ、
この巨大ショールームを抱えるこの会社のゆくえは気になっては
いた。
それから1年以上が過ぎた。家具売り場にはいく用事がないため、
ご無沙汰していた。
そんななか、テレビのある番組で、まさにその家具販売会社の
経営手腕を批判的に報じるコーナーがあった。
いかにその会社が危機的な環境であるか、
経営者親子への否定的なコメント、
さらには経営コンサル的なコメンテーターがこうすれば、ああ
すればとその会社の改善策を無責任に報じる。
私はこれを見ながら、このテレビ報道について、そこに働く社員や
その家族はどう思うだろうか。と思い、胸が苦しくなってきた。
その会社で働いている人にとって、自分の会社をネガティブに
報じられるということはどんな気持ちになるだろうか?
働く意欲は?その方の子供さんは?
無責任に報じて、面白おかしく伝えることで、視聴率が上がるかも
しれないが、それにより株価も多少影響するかもしれないが
(そんなにないだろうが)
それよりも、そんなことよりも、
そこで一生懸命に働いている社員たちが気の毒に思えてならない。
すぐ私は、1年以上ご無沙汰しているその会社のスタッフにメールを
送った。
家具は買う予定がないけれど、今度、会いに行きますね。
テレビを見ていて思い出して、気になりメールしました・・
と書いた。
個人的には、そのスタッフを食事にも誘って、
激励したいぐらいの気持ちで。
すると彼女から返信があった。
メールを喜んでくれたと同時に、
報道に負けないように、お客様に喜んでいただけるように
スタッフ一丸がんばっています!
と書いてあり、胸が熱くなり、ますます応援しなければと思った。
噂、風評。悲しいかな、人は人の不幸を喜ぶ傾向があるのかもしれない。
ただ、報道に携わる、メディアの人には、自分たちが報ずる結果、関与者が
元気になる、幸せになることを意図してほしい。
経営者の責任はもちろんあるかもしれないが、その会社を報じる以上、
そこで働く社員や家族や関係者がたくさんいることを忘れないでほしい。
そんなことを気にしていたら、番組づくりはできないのかもしれないが
このところ、つくづくメディアの功罪について考えさせられる。
近々、そのショールームに彼女を訪ねていこうと
思う。
自分が選んでそこに働く人たちが
誇りを持ち続けることができる企業こそが
求められる、生き残ることができると思う。