「あ!っ」商売道具にご注意!

ある日の仕事は商談会の会場。あるブースで餅商品をすすめられる。
では、一口試食を・・・といただいてみた。
うーん。よく粘る、さすがのお餅だ。
「おいしいです~。よく伸びて・・あ。あ。あれ?」
急にこちらの顔色が変わったようだ。
「どうしました?」
奥の歯の詰めたものが その餅にくっくいて取れてしまったのだ。
歯の塊が口内で餅とともに・・。
やばい、2時間後は大勢の前で話さねばならないのに。
しかも翌日も話す仕事だ。

私はそのブースをぎりぎりの笑顔で去って、すぐトイレに駆け込んだ。
こんな日に限って、歯が・・・なんて、ああ、もう!
まず、見た目は変わらないか?
口は開くか?話しておかしくないか?活舌はおかしくないか?
痛みはないか?
いろいろ試しながら、同時に応急処置をしてくれる医者を探さねばと
思い、頭の中がぐるぐる。
もう行かねばならぬ。地下鉄に乗りつつ、歯医者情報を教えてくれそうな
人にメールでコンタクトする。皆さん優しい。すぐに返事をくださる。
しかし、今すぐは行けない。とにかく歯が抜けようがなんであろうが
会場に行かねばならない。
歩きながら何度も発声練習をした。
もう、この状態でやるしかない!落ち着け落ち着けと自分に言い聞かせる。

どきどきはらはら・・
なんとか4時間の研修を乗り切った。
しかし、口の中が切れて出血しているようではある。
でも、そのことを意識しないようこころがけ、普段以上の笑顔で話し続けた。

業務終了とともに紹介していただいた初めての歯医者へ駆け込む。
ありがたいことに初診であったが、事情を理解し、
早く対応してくださった。出張先ということで、先生にご親切にしていただいた
のも大変ありがたかった。
まずは応急処理完了。ほっとして新幹線に乗り込み、次の目的地に向かう。

あと1日乗り切らねば。
・・・なんとか応急処置のおかげで、無事翌日の勉強会も乗り越えた。

それにしても、口はとても大切だ。
歯は食べるためにも、話すためにもとても大切だ。
私の場合は、口や手はある意味、商売道具だ。
注意が足りなったかもしれない。

試食するときは気を付けよう。
それにしても、人前に出る仕事にとって
このようなアクシデントは避けたいところ。

まあ、台風や地震で被災するよりは
ずーっと幸せだ。ラッキーと思うことにしよう。
このこともネタにして、授業はうまくいった。

お口は商売道具。くれぐれも気をつけよう。

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