身の丈で、まずは「並」。

長崎名物で、自分にとって愛着を感じる食べ物。それは、「ちゃんぽん」だ。
どうやら、語源は中国の福建あたりで「ご飯を食べる」という
「しゃぽん」という意味から・・という説もあるが、料理のルーツも
いろんなものを入れた福建料理「とんにいしーめん」だとのこと。

このいろんなものがごちゃっと入っている様が好きで、若いときには
あの、長崎ちゃんぽんのチェーン店も大好きだったのが、そんなに
歴史があり、長崎独自のものだったとは、今となれば懐かしい。

「ちゃんぽん」は、いろんなものがいろいろ混じっていることで
独特の味を醸し出している。
ここが大変気に入っており、いろんな要素が混じっているという点が
東西を越え、いろんなものが好きという自分との共通点と思っており、
自分のことを「ちゃんぽん人」だとも思っている。

さて、その本場、長崎にきたら、一度は食べなくちゃ。というのは
毎度のこと。

今回、たまたま用事で中華街の脇を通る。ショーウィンドにつられ
たまには、本場の本場で食べてみるか・・。と、中華料理店に入っ
てみる。あ、初めて長崎に来たときに人に連れてきてもらった店だ。

ちゃんぽん・・・各店それぞれの特徴があるが、ここは
グランドメニューに、特上1000円、●●調理長の特上1500円
といったプレミアムなちゃんぽんが掲載されており、ちゃんぽんっ
てこんな高級料理?と思っていたら、
サービス品と手書きで書かれたメニューに「ちゃんぽん 並 800円」
というのもみつける。

しかし、そんなに特上にこだわっているならば、それなりの何かが
あるのだろう。
何事も経験、勉強と思い、今回は、「●●調理長の特上」というもの
をオーダーしてみた。
こんな高級なちゃんぽんは注文したことがない。

さて、5分もしないうちに、出てきたその最高級ちゃんぽん。
大きさは普通のどんぶり。そう、量ではないのだ。
その肝心な中身。
トッピングには、ふかひれ。中には練り物の中に入った肉団子や
とにかくこれまで食べたことのない高級食材入りのちゃんぽん。
卵も解けているような、濃厚なとろっとしたスープ。

うーん。これは・・。
正直、食べながら、「並」でよかったと思った。
自分の口には合わない感じ。自分が知っているちゃんぽんは
こんなにこってりしていないし、野菜がもっと多い。
私のちゃんぽんに、ふかひれは要らないのだ。

これであれば、並を2つほど注文できた・・。

なんでも特上が良いとは限らない。
料理そのもののステイタス、イメージ、そして身の丈というのがある。

並のちゃんぽん。これがきっと一番おいしい。
ふかひれよりも、もやしやきくらげ、野菜たっぷり
の方が良い。

うなぎでも、寿司でもそうだ。
「並」をあなどることなかれ。

ああ、中華街で良い勉強をした。
口直しをしたい、ひとときであった。
これからは、身の丈の食事をしよう。
そして、本当においしいというのと
「特上」は違う軸にあるのかも。

目の前、身の丈の「並」を大切に。

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