車を運転しなくなった父の主な移動手段。今は自転車だ。
母は昔から、自転車を雨の日もハレの日も愛用し、30分かかるような
ところでも出かけていく。
自転車と呼ぶよりケッタマシーンといった方が向いている。
そろそろ、それを漕ぐのがしんどいかもと思い、
「電動自転車にする?」とすすめたら、
「あれはあかん。運動にならんし、重いから倒れたら自分で
起こせないから困る」
なるほど。元気でいいことだ。
自転車に乗ることを運動と思っているなら、安心だ。
最近、新しいもっと軽い自転車を購入する予定だそうで、
まだまだ乗る、自分で漕ぐつもりなのだと思うと、本当に頼もしい。
一方、父は最近、足が痛いそうで、少しづつ出かけるのがおっくうに
なってはいる。
テレビでコマーシャルをしまくっている富山の薬?サプリ?も
気休め程度に飲んでいる。
痛いのは本当につらいと思う。
そんな父を心配し、ショッピングモールへ一緒に出掛けることに
なったとき、妹が義母用にレンタルしていた車いすを
持参し、父を乗せて広い店内を歩いていた。
その時車いすにのった父を初めて見た。
正直ちょっとショックでもあった。
父はちょっと恥ずかしそうではあったが
「やっぱ、楽だな」
歩かずに押してもらえるのは楽だろう。
でも、私は
「お父さん、頼ったらいかんよ。今日だけだからね。
まだまだ自分の足で歩けるんだからね」
と言った。
いつまでも若々しくがんばって自分で動いてほしい。
グランドゴルフでもなんでもいいから、
自分の足で頑張れる限界までがんばってほしい。
車いすいいつかお世話になる日もあるだろうが、
なるべく、なるべく、その日が遅いことを願っている。
自分の足で歩く、自分の足で漕ぐ。
自分の口で食べる。
これが最高の幸せだ。
車いすにのった父には、まだ当分お目にかからなくてよいように
できる協力と、叱咤激励をしていきたい。