あまりに有名なアメリカの監督、ウッディ・アレンの映画。
人によっては、退屈だとかつまらないとか、理屈っぽいとかいろんな評価があるかも
しれないが、大人になってくると、あるいはNYが好きな人間にとっては、彼の作品は
そこはかとなく面白いと感じるし、あのなんともいえない空気感も心地よい。
一方、ユダヤ人の血をひいているせいか、とても賢く、天才的だと思える部分も感じる。
そして、複雑な人間の心情の描写が見事だと思う。
とにかく、若いころはわからなかったけれど、大人向け。
そして、NYに住んで隣人たちの暮らしを見ながら、
人生を楽しむような不思議な、そんな「手の届きそうな非日常感」が私は気に入っている。
さて、その名監督はもう82歳だそう。しかし
監督にとどまらず、俳優業も音楽家としての活動もされているからか、人生経験も豊かなせいか
とても若々しい。そう、わが父と同い年なのに・・。
その監督の最近の作品。(といってもアメリカでは昨年末にクランクインしていたようだ)
邦訳では「男と女の観覧車」(原題はWonder Wheels)
そのタイトルだけで、すぐ映画館に駆け込んだ。
どんな風に観覧車を扱っているのだろうか。私の思いとの共通点はあるだろうか?
なんだったら、NYまで訪ねていくことになるかもしれない。といったいつもの妄想も
もちつつ、映画を観る。
やはり、手の届く非日常。映像はキレイだ。NYのコニーアイランドの古い遊園地を
舞台としたほろ苦いラブストーリー。
観覧車のように、いろんな人間の思いがくるくるを回って交わる、あるいは人の心の空回り
・・なども表現しているのかもしれないが。
使われているBGMも、アルゼンチンタンゴをアレンジしたものなど、とても五感で満足できる
作品。そして遊園地の中にたつ観覧車は、ストーリーが切り替わるタイミングでズームアップされる。
観覧車に誰かが乗るというシーンは出てこない。観覧車が回る前で、男と女の憎愛がくるくる
回るという感じだ。
観覧車自体はストーリーに関係ない、登場人物もそこには乗らないが、
なぜこの監督がこの作品にこのタイトルかは私なりに理解できた。
男女のどたばたも含め、人生は観覧車のようなもんよ・・・と言っているのだと思った。
観覧車はやっぱり映画のタイトルにもふさわしいシンボル、アイコン的な存在だ。
これから、もっと作品化していこうと思っているところに、新たなヒントを得た。
ウッディアレンが元気なうちに、一度話してみたいな~。私の人生は観覧車のように・・も
ぜひ聴いてみてほしいな~。・・と、映画を観たらまた妄想が・・。いかんいかん。