本日、最後の営業日。


本日6月30日で営業を終える名古屋の老舗百貨店。戦時中(昭和18年)に地元の百貨店が合併して
名古屋の栄が繁栄するようにと名付けられて誕生した。(そのルーツをたどればその歴史は江戸時代に遡る)

実は、私にとっては子供のころの憧れのお店のひとつ。
名古屋といえば、40年前は、松坂屋か丸栄であった。
そして栄が名古屋の中心であった。
その栄のランドマークであった丸栄が、残念ながらこのたび営業終了となる。

このお店の歴史を綴る写真展を開催していると知り、懐かしさもあいまって、
久しぶりにお店に行ってみる。
このデパートには、おそらく子供のころの方が足を運んでいた。
同世代の人だと、そんな人が多いのではないか。
大人になってからは、ほとんど来ていない。
だんだん、栄の他のデパートに、そして名古屋駅にと動線が移っていった。

でも、まさか。なくなるとは思っていなかった。が、
昨年、久しぶりに訪ねてみたときに、これはまずいかも・・・と気になってはいた。
こんな昭和時代のままのレトロ感漂うお店、あったらうれしいけれど、
経営は大変だろう・・・と想像した。
そして、残念ながら、その予想があたってしまった。

閉店が決まり、閉店日が近づくにつれ、売り尽くしセールでお客の数が増える。
こんなに忙しいことはなかったというぐらいに、お店のスタッフが忙しそうだ。
さぞかし、うらめしいことだろう。
「もっと前からきてくれていたら、閉店することなかったかも‥」
と思いながら、レジを打ち込んでいるかもしれない・・・と行列の片隅からそう思ってみていた。
イベント会場は、このデパートの歴史をまとめた企画展。
テレビ局の取材も入っており、インタビューに答えているお客さんの姿もあった。
写真はその企画展の写真も一部だ。
今回は撮影しても良いとのこと。
昔の制服、カタログ、当時の写真、包装紙・・・いろんな展示物をみながら、胸がいっぱいになった。
地域密着のデパ―トの生存のむつかしさを痛感する。
お客さんの寄せ書きには寂しさと感謝の気持ちが書かれていた。「青春をありがとう」という言葉が
なんともいえない・・。

時代の流れに乗り切れなかった・・とばかりは言えない。
百貨店という業態も大きく変化している。
立地も客層も求められるサービスも大きく変わっている。
何を提案するお店であるのか・・。先取の勢いがない店はいずれ衰退する。
郊外の大型店舗の影響も大きいだろう。

とにかく残念だ。
この存在を忘れないようにと、思わず、買い物をした。
初めて、買い物らしい買い物をした。
この店があった記念に・・・である。
これは、あそこで、あのとき買ったね~。
一生忘れないようにするために。

営業最終日、おそらく近年最高の来店客数になることだろう。
そして涙の閉店になるだろう。想像するだけでこちらも泣けてくる。
社員さんの心中を察する。

丸栄。名古屋を代表してきた栄のデパート。ありがとう、そして、お疲れ様でした。

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