ブロードウェイへの扉を開く場所で。

NYに来たら、できる限り、いや絶対に訪ねたい場所のひとつ。
それは、ブロードウェイで活躍するアクターやダンサーたちが、そのタマゴが練習に、
オーディションにやってくるミュージックスタジオである。
気が付けば、もう10年近く、利用頻度や使用時間こそは少なく短いが、
通っている。
NYでインスピレーションを受ける場所。美術館やコンサートホールももちろん
創造に役立つ場所であるが、スタジオはステージに立つ前の本気の演者たちに
触れることができる点で、とてもライブなのである。
そして、そこに交じって自分もピアノを練習する。
小さな部屋である。ピアノ1台。そして大きな鏡。
自分が歌う、踊る姿をチェックするため必需品だ。
この空間に身を入れ、ピアノに触れ始めると、勝手に指が動き、新しい発想から
即興がはじまる。
日本では、地元ではイメージしないものが、ここでは生まれたりするのだ。
多くのアクターたちが、ブロードウェイの扉をたたくための関門がこのスタジオにある。
がんばればステージに立てる、立ってやる。そんな気持ちが伝わってくるのだ。

ずっとiPhoneで録音しながら、アドリブで生まれるメロディを保存する。
私自身が目指す扉を開くために、新たな一歩が始まるこの空間が
とても好きだ。

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