紙吹雪で主人をおくる。

久しぶりのNY滞在中に、訃報が流れたデザイナーのKATE SPADE。
報道の直後から、公式サイトで創業者の死を悼む哀しみのメッセージが流れていた。
いかにも、NYらしい、軽やかで明るくて、ハッピーモードを醸し出すデザインだけに
このメッセージが対照的すぎて、何度も何度も繰り返されるニュースで見る、美しく
かわいらしいKATEの在りし日の横顔を見ると、たまらない気持ちになる。
アメリカンドリームの象徴のひとりでもあった彼女の生涯、まさに光と影か。
成功者の運命と孤独と・・・。
関係者はさぞかし驚き、こんなときどんな気持ちで?
お店は喪に服して、休業か?
いろんなことを考えながら、ロックフェラーセンターの前を通った。
以前はメトロポリタン美術館のショップがあった場所に、まさにKATEのショップがあった。
お店は普段通り営業していたが、ショーウィンドーには紙吹雪のディスプレイに
ネットでみたメッセージと同じ哀悼の言葉が黒いパネルが掲示されている。
夢を売る、華やかなお店がどこか寂しげだ。
通りがかりか、ニュースを見てか・・お客は入っている。
店員は寂しげだ。
主人がいなくなっても、お店は営業するのだ。
それがビジネス。それが商売。
これまで彼女の店にはほとんど入ったことがなく、買い物もしたことがなかったが、
今回はお店に入り、KATEが遺したデザインの世界を見ながら、ひとり彼女の偉業をしのんだ。
流暢に日本語で話しかけてくる金髪の上海人スタッフが、いかにもKate worldな雰囲気を
醸し出し、主人が亡くなったことは別世界のような印象を受けた。

しかし、ショーウィンドウには紙吹雪のディスプレイ。
主人を優しい拍手と祈りで送るかのように。

改めて、同世代のKATE SPADEさんのご冥福を祈ります。

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