とにかく、褒めると気持ちいい。

冬の越後湯沢駅は活気がある、乗り換え時間に駅ビル内をぶらついても、店も開いているし、人もたくさんいて、とくに若者が多数いるのは良いことだ。そこで軽く食事をとり、新幹線ホームに向かう。すると、なんとも抑揚といい、リズムといい、滑舌といい、心地よいアナウンスが耳に飛び込んできた。「まーもなくー、14番線にとき3〇〇号、東京行が8両でまいります。黄色い三角印〇番から〇番でお待ちください。この列車は~、当駅を出ますとー、上毛高原、高崎・・・・東京までの各駅に止まります。尚、この列車では車内販売はございませんので、あらかじめご了承ください」といった内容のアナウンスを実になめらかに気持ちよく話しておられるのだ。つい、集中して聞きほれてしまう。まるで歌でも歌っているかのような。その本人はどこにいるんだ!どんな顔でマイク握っているんだ??と姿を目で追うと、車掌室の近くの列車の最後部あたりに、マイクを持ちながら歩きながら話している駅員さんをみつけた。いわゆる普通の?真面目そうな駅員のおじさまだ。「あの人だ!見かけと声のトーンがちょっと違うな~」と思いながら、そのアナウンスにつられ、その人がいる方へ歩いていく。すると「おっきゃくさん、ここには止まりませんよ。黄色い印の・・・・でお待ちください。」と注意してくれたので、「はい、わかっています。あのー、アナウンス、めちゃくちゃうまいですよね。こんなうまいアナウンスは初めてききました。だから近寄ってきたんですよ」とかえすと、駅員さんびっくりされたようで「へえ~~?そんなこと言われたことないです。どうも、ありがとうございます」ととても照れておられた。お互い笑って、私はその指示された番号のところへ戻った。そのあとまたアナウンスが続くが、どうもさっきとは違う感じ。「うまい!」と言われて意識してしまったのかしら?ちょっとぎこちない感じ?でも、それは私が声をかけたせいだ。でも、アナウンスが素晴らしくて、いい駅、プロのいる駅だと思うことは大切なので、そのことに自信をもっていただいてもいいだろう。
あの駅員さん、今日帰るとき、帰られたら「今日、お客さんにホームで声かけられたよ~」
とか家族や誰かに話すだろうか?それを想像するのも楽しい。いいと思ったら、初対面でも褒めたい。素直な気持ちを伝えたい。そうすることで、人は仕事に誇りをもち、もっとがんばるはず。いやー、また近日、あの駅で乗り継ぎたい。

カテゴリー: Essay (Word) パーマリンク