長崎の潜伏キリシタンに関する教会や集落がどうやら、念願の世界遺産に登録されるようだ。
2年前に教会群で登録する予定で長崎では関連市町村を挙げて、準備をしていたが、
イコモスの調査が入り、潜伏キリシタンに絞った再申請を求められ、
出直しとなった日が、今も記憶に新しい。
私にとっても、この長崎の世界遺産登録は、他人事ではなかった。
平戸でのザビエルコンサートは、この世界遺産登録の機運のなか、
まさに隠れキリシタン集落地区で実現可能となった。
また、旧上海銀行長崎支店でのコンサートも、大浦天主堂の坂の下にある建物で、
私にとってはあの場所、位置は
遠藤周作の著作から知った長崎の悲しい歴史の拠点であり、心に刻み続けたい場所のひとつ。
さらに、昨年コンサートを行った外海地区も、潜伏キリシタンの里だ。
五島の教会探訪もとても懐かしく、江戸時代にキリシタンのみなさん
外海から海を越えて、そんなところまで行きなさったと思い胸がいっぱいになる。
などなど・・・今から思えば、自分がこの数年で重ねてきた長崎の出会い、
経験は隠れキリシタンに関わる場所ばかりで、その偶然性に改めて驚く。
このたび、これらの場所が世界遺産に認定される。
観光地として多くの人々が訪れることになるのかと思うと、正直、内心複雑であるが、
日本人の鎖国的メンタリティを世界に示し、宗教と政治を考える良い教材であるという点では、
保存していくことは大変意味がある。
世界遺産の本来の意味をきちんと理解しつつ、この苦労と苦悩の歴史が忘れられないよう、
愛すべき長崎が変わらないよう、静かな祈りの場所をじっと見守りたい。
一過性の観光ブームで終わらず、人々が日本と世界の信仰の歴史に向き合い、今後に
生かす機会となるように、心から願っている。