自立して、自由に生き、創る・・・。

彼のことは、昨年晩秋、愛知県にある大きな直売所のイベントスペースで
知った。
寒さがじわりしみいる屋外で、パグパイプを演奏していた。直売所への来店客もまばらで
そんななか、アーチストがひとりがんばっていた。
その楽器の珍しさと、野菜の直売所にこんな変わったイベント?の珍しさと
惹き付けられる何かがあって、演奏終了後、撤収作業をしている彼に声をかけた。
「おつかれさまです。はじめまして」
と言うと笑顔で返してくれた。とても気さくで、やさしい感じのアーチスト。
「私も一応、演奏とかやるんですけど、変わっていますね。パグパイプって・・・」
名刺交換をしながら、しばし立ち話。彼も東京から愛知に移ってきたばかりだといい
そこでも縁を感じる。
また会いましょう。とその後、メールを少しやり取りし、半年以上経過したが
最近、突然再会することになった。

上野界隈で生まれ育った彼は、写真家の息子さんだそうで、子供心から何かを
創るとか自由に創造するという世界に慣れ親しんでいたようだ。
十代はドラマーであったが、あるきっかけで、パグパイプの魅力に取りつかれ、しかも
一般的にはバグパイクといえば、スコットランドやアイルランドと印象が
強いが、彼が挑戦したのは、スペインのバグパイプ。
どうせやるなら新しい挑戦ということで、現地に赴き、本場で学ぶ。
今、偶然か、私の周りでにわか注目度が高まる、スペイン巡礼地の最終目的地
サンティアゴ・デ・コンポステーラがその楽器の聖地でもあると知り、
改めての縁を感じる。
もちろん彼自身、その聖地をもとめて巡礼の道を歩いたことがあるとのこと。

さて、その彼は、東京時代も、今名古屋ででも、ポップアップアーチストとして活躍し
ながら、各地への巡業にも意欲的だ。
どこに住んでいても、仕事はどこででもできる。この感覚も同感で、いろんな
ことから話が弾む。

大変器用なアーチスト。パグパイクだけでなく、手回しオルガンや、それ以外にも
クラウドファンディングを活用し、フランスの珍しい楽器を今オーダーしている
とのこと。

世界の素敵な音を、いろんな楽器を伝えたい。
純粋な夢にこちらもつい、引き込まれていく。
少し違う道ではあるけれど、目指す先の世界が共通しているように感じた。

「ぜひ、何か一緒にやりましょう。」
握手をして、別れた。
気が付けば、2時間半も話していた。
握手した手は、とても柔らかく、いつもコラボ演奏につきあってもらっている
尺八の彼の手にも似ている。

フリーで生きる。フリーで挑戦する。
どこまでも自由に。
自立しながら自由な世界を描き続ける生き方、やっぱり、いい。
さあ。今後の展開が楽しみだ。

彼の名前はKOJIKOJIMOHEJI。名前もユニークでユーモアに
溢れる。
同じ東京で活動していたのに、
東京で出会わなかったが、今、この真ん中の町で出会えたことを大切にしたい。

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