世界中の夢命(むめい)なピアニストに拍手

最近、ちょっと気になるBS番組がある。
それは、「空港ピアノ」「駅ピアノ」なるもので、
イタリアのシチリア空港にあるピアノ、アムステルダムのある電車駅にある
ピアノ・・。そこに通行人や住民が次々演奏にやってくる姿を撮影したという
シンプルな番組。

まずは、公共の交通機関にグランドピアノが置いてあるということ、
そして、自由に誰もが演奏できるということ、
何より、いろんな人が1曲弾きに来る。そして、それがとてもうまい!
ジャンルもクラシックからジャズ、映画音楽まで・・聴いたことのない
民族音楽も出てくる・・。

そして、他の通行客や利用者が、足を止めてその演奏を聴き、
拍手をくれたり、
ある人はスマホで撮影・録音したり・・・。

と、まあすべてが自由。

まず、空港や大きな駅にフリーで弾けるピアノがあるという
この文化的レベルの高さ、開放感がたまらない。

ふと、以前泊まったナポリのホテルの宴会場に置いてあったピアノを
どうしても弾きたくて、ホテルのスタッフに頼んで
演奏したことを思い出した。
そこで働く人やお客さんが喜んでくれた・・。という嬉しい思い出が
今も蘇る。

音楽は、格式張って、特別な顔をして、上から目線で
お高くとまっているものであってはならない。
そして、立派なホールで、高いお金を払って聴くか
聴けないか・・という敷居の高い音楽の世界、
有名なピアニストが奏でる演奏だけがすべてではない。
内側から湧いてくるアーチスト魂からあふれる音色は
この空港や、駅で出会う演奏と、会場で聴くものと本質は
変わらない・・と感じる。

何より空港や駅で演奏している人々は演奏中、とても
楽しそう。
音楽がすべて。音楽があるから、生きていられる。
そのひとときを満喫している。縛りがないせいだろうか。
そこで演奏する人々のカンタンなインタビューを聴いていると、
その素晴らしい演奏と言葉が一体となり、その人の人生が透けてくるようだ。
それぞれの人生から生まれるピアノ。選曲も奏法も多様で、空港ならでは
駅ならでは。実に世界中の人が行きかうから、味わえる演奏会。

老人から移民、留学生から旅行者、近所に住む人・・・
そこで今10分前に出会った男女が、いきなりデュオで演奏して
いる姿にも感動。
プログラムもなく、出演者リストもない。

世界には、無名でなく、夢命の素敵な
ピアニストたちがたーくさんいる。
自由に、自分らしく、自分を表現できる
夢のピアニスト。

日本にもこんな自由な空間があれば・・・。
いつか、実家のピアノをこんな風に活用できたら、
ピアノが生き続けることになると・・・いいな。
またもや、妄想。

ああ、シチリアへ、アムステルダムに行きたくなった。

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