世の中とは、ほんとうにおもしろい。
今だに有効活用しているのが、東京住所も入った名刺。
大好きな風合いの名刺で、創業時から変わらずずっと愛用してきたが、
それを刷る会社が、おととし末に廃業されてしまった。
その前に、まとめて何百枚も印刷。そしてそのあとに引っ越しを決定・・・。
というわけで、名刺に愛着がありすぎて、もったいないため
この名刺に新住所のゴム印を押して使っている。
今回もその名刺を、新しく出会った方にお渡しする。
「へ?矢来町ですか?」
「いえ、矢来町でした」
「私も、〇〇年まで、そこに住んでいたのですよ。
神楽坂の坂を上りきって、右にいくと・・・で、左に
交番があって・・・その手前のマンションに住んでいたんですよ」
なんと?
本当に近所に住んでおられたようだ。
おそらく10年以上は、同じエリアにそれぞれ住んでいた。
電車や道や、コンビニですれ違っていたに違いない。
と、初対面であったのに、その町名だけで、もう知り合いになって
しまい、あとの話もスムーズに進んだ。
そういえば、
同じ町名に住んでいたことで親しくなった人が、実は他にもいる。
ある新聞記者だ。
今は、彼も関西に住む。
本当に近所に住んでいたのに、知り合ったのは引っ越してから。
でも、同じ場所にいた・・・と思うと、
なんだかそれだけで共通の世界が広がる。
名古屋での新たな出会いが、以前の町名にまつわるとは。
面白いものだ。
ときには、古い名刺も威力を発揮してくれるものだ。
そういえば、別のところで、新潟出身の方と出会い、
一気に打ち解けた。
ある場所、地域での共通体験というのは、
関係づくりに、コミュニケーションに大変有効だと
再認識。
どこに住んでいても、どこへ行っても、すべての
経験が出会いに役立つものだ。
何気ないことなのにとてもうれしい。
ご縁は、こんな名刺からも生まれる。