「なんとか映え、せーへんのですわ」

京都のとある商店街の角っこにある、お酒も食品も販売している
私からみると、ちょっとこだわりの良いお店。
そこのお店の魅力は、立地や、歴史や、たたずまいや、
品揃えや・・・全部バランス良いのだけれど、一番は
そこのマスターだと思う。
あえて、マスターと呼びたくなるアラフィフのおにいさん。
元印刷会社の営業マンというところも、私としては親近感が
湧くポイントである。

さて、そのマスターのお言葉はいろいろ楽しい。
「お笑い系の取材は断ってるんですわ~。うちの商品、
全然おもろないですし、きてもろても困る」
「ホームページもないし、ツィッタ―とかもやらへんし、
なんとか映えも、せーへんし。そういうのはいらんのですわ。」
と言い切るその感じがとてもいい。
といいつつ、お店の前には手作りのウェルカムボードがあり、
見事につられて入ってしまう魅力がある。

常連さんがおいでになると、
「〇〇さん、おいでやす」
と名前をいって挨拶をする。これはなかなか見ない。
そしてそのお客さんがいつも何を買うのか覚えておられて
その商品があるとかないとか、
食べすぎたらあかん、健康に悪いとか・・・
まるで家族のように、やんわりと一言声かけておられる。
この接客。
ある意味、ほんまもんの京都人のおもてなしであり、
すたれていく商店の中で、残っていくお店のモデルとして
納得してしまう強さがある。

とにかく、あじわいあるマスター。
名刺交換をした仲なので、早速訪問お礼のメール。
するとすぐ返信をいただいた。
なんとか映えもしなくていいし、つぶやかなくていいけれど、
目の前の大切なお客さんを大切にされていることが
商売の秘訣だと勉強させてもらった。

地道に、地味に。
いい。これが長続きの秘訣。

友達に会いに行くような感じで・・・行きたくなる店って
いい。

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