長年の探し物をみつけた喜び

1994年は平安遷都1200年ということで、さまざまなイベントが執り行われた。
自治体のアニバーサリーイベントの先駆けだったかもしれない。
そのとき、つとめていた印刷会社では、では記念出版事業をということで一冊の
本を作ることになった。書籍の名前は「京の肖像」。

その企画や編集に関わった。
そのなかで、京都らしいお店を紹介するページがあり、チームで手分けして
取材した。
私が取材したのは、お酢の会社、名曲喫茶・・・などなど。そのなかに
京都大学の近所にみつけた小さなインド料理の店。ひっそりとたたずむ。
まるで、お店がヨガをしているような・・・そんな印象だった。

取材がきっかけとなり、そこの女主人と交流がはじまった。
その方は、世界的な瞑想家シュリ・チンモイの弟子として活
動されている方であることを知り、そういう方がいるんだと
自分の世界が少し広がった。
彼女は、修行に出るため、その後店を閉店したが、
それからも、何度か京都でお茶をし、年賀状のやりとりも
続いた・・が、いつしか連絡が途絶えた。

インドとNYへ行き、師匠に教えを乞うことが人生の最高の喜びだと
おっしゃっていたその横顔は深く心に刻まれていた。
清らかなお顔で、俗人の自分の生き方が恥ずかしくも思える、
そんな純粋な方であった。

最近、京都に行くことが多く、ふとその方のことが久しぶりに気になった。

何気なく、
もう存在しないはずの、昔のインド料理屋の名前を検索してみた。
関連する情報が出てくるかな?あるいは瞑想教室とかやって
いたりするかも・・・
期待半分、諦め半分で調べていたら、なんと、そのインド料理屋が
復活していた。
「え?まさか?」
サイトもあり、店主も、その彼女本人のままだった。

「ああ、元気にされているんだ~」
もう数年以上、安否も含め気になっていたため、
とてもうれしく、
なくしていた探し物をみつけた、そんな気持ちになった。

サイトを見ていると、取材した当時とは
メニューを変えておられるようであるが、
店名はそのまま「スジャータ」、

仏陀の道を若き日に歩き、人生が変わったとおっしゃってた
ことが懐かしく、
よし!会いに行こう!
と、次の楽しみができた。

その前に、手紙を出すか、電話をするか。
きっと驚かれるだろう。

彼女からいただいたハガキをずっと大切にしていた。
いつか会いたいと思っていた。
初めてお会いしてから四半世紀以上。

こんな生き方もある。と今改めて
学びに行きたい。

ネットは時々、探し物を手伝ってくれる。
その点では大変ありがたい。

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