小さきもののアイデンティティ

スカイプの開発に携わったのは、バルト三国のエストニアの
青年事業家であることを知った。彼へのテレビインタビューでなぜ、
そのような発想が生まれたのかについて語っていたが、自分たちが
小さい国の出身者であることを挙げていたのが大変印象的であった。

大きな国になると、いろんな手続きが煩雑で、また通例に従わないといけない
ことが多いが、小さい国ではいろんなことがすぐできる。どうしたらそんな
ことができる?と自由に発想し、やってしまうことができる。
だから、いろんなことがしやすいとのこと。

かつて、ロシアの管理下にあったこれらの国では、今、自力で生きていくために
独自の方法で、自らの強みを生かしていかねばならない。

またこの小さき国の人々が、母国語の音楽を応じて、
アイデンティティを守ろうとしていることにも共感を覚えた。
小さいながらの連帯感を、先人たちがここに住み、話してきた母国語を
歌を通じて、みんなで受け継ごう、守ろうとしていることにも感動を
覚える。

私の場合。
子供の頃、周囲の子らに身長をどんどん抜かれて、自分は結果小さいまま
大人になってきた。
結果、小さくてトクをしてきたと思っている。
小さい方が愛嬌がある、小さい方が親しんでもらいやすい?
何事も、大きいことがいいとは限らず。
「大きいことはいいことだ」・・・というコマーシャルソングも
あったが、あれは、高度掲載成長を目指していた時代の産物かもしれない。
とにかく、大きい方が価値があるのでもなく、小さくても
ひとりひとりの人間の価値は同じだということ。

今だに経済の成長を信じ、モノの大きさ、数の多さに価値を持ちたがる
日本人も、そろそろ、自らの小ささを意識し直す方が良い。
今や経済大国になっているが、大国と思っているからの勘違いや
だからこそ忘れてしまったこと、失くしたものが
あるように思う。
小ささとは、小回りが利くということ。小ささとはもしかしたら、
配慮ややさしさにも通じることかもしれない。

小さいながらも、自立心をもって、自分たちらしく生きる。

バルトのみなさんはそれを実践している。

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