転ばぬ先の杖市場は、花盛り。

車に乗らなくなった父に、元気にいてもらうためには・・・。
いろいろ考えたが、そんなに頻繁に顔を見せても喜ぶものではないことも
わかってきた。
自然体が一番であるし、さりげない応援がいいのだ。
あからさまに「大丈夫、大丈夫?」と過保護は良くないこともわかってきた。
だけど、気になる。そんなところ、あれこれ思案していたら、偶然にも
杖の専門店をみつけた。
気にかけていると出会うものだ。
今は高齢化社会でもあるが、健康志向の高まりからも、杖という商品は
注目株のようだ。といっても、杖屋さんの話からそう思ったわけであるが。
長さ、デザイン、機能、重量・・・いろんな目的で選べるように品揃えも
豊富で驚いた。
「杖なんか、要らん」と言われそうではあるが、やっぱりあった方が歩きやすいはず。
でも、持ち運びを考えると・・荷物になるのは良くない・・。
いろいろ店の人に聴きながら、折り畳みの杖を選ぶ。この商品購入にはコンサルティングが
必要だ。いろいろ聞かないとわからないし、聞くと不安が安心に変わる。

機能面を吟味したあとはデザインと色。
年寄り臭く見えないように、歩きたくなるように、人に自慢したくなるように。
ここも杖選定には大切なポイント。
おしゃれな杖ならば、歩いて出かけるのがおっくうにはならないはずだ・・。そうあってほしい。
色はメタリックブルーにする。きっと驚くだろう。
文句言いながらでもいいから、ぜひ使ってほしい。
車がなくても、歩いて移動すると楽しい発見があることを知ってもらえたら・・。
そんなわけで、生まれて初めて杖を買う。
どうやら、腰の曲がった人のためのものではなくて、姿勢を良くするための
ポジティブな健康用具のようだ。その考えがもっと広まるといい。
それにしても、こんなに杖の店が充実しているとは・・・。
高齢・健康の2つの切り口で元気な市場であるに違いない。

杖をラッピングしてくれた担当の店員さんは60代後半ぐらいの紳士であった。
こちらの素人的な問いかけに、きちんと答えてくれる。プロの販売員さんだ。
なんでも全国のデパートの今でいう、POPUP SHOP~催事~
で動き回っておられるようだ。
作務衣を来ていたのが印象的。その人の名前は名札で覚えた。
別れ際に
「ほな、〇〇さんもお体に気を付けてお元気におきばりください」
と名前であいさつしたら、大うけした。いつのまに?名前を?
そう、気になる人はすぐ名前を覚え、名前で呼ぶ。そのための名札だ。

みんな元気で杖のように、長く、強く、そしてしなやかに生きてほしい。
いいクリスマスギフトになれば、いい。

カテゴリー: Essay (Word) パーマリンク