愛の帽子コミュニケーション。

父親が帽子職人だったせいか、わが家では帽子は大変
身近な存在であった。
その仕事を引退して20年にもなるため、仕事としてはまったく関係がないが
家族はそれぞれに帽子を愛用し続けているし、私にとっても
帽子の存在は、今もありがたいと思っている。
とくにシミが気になるお年頃としては、いつも欠かせない。

知的障がい者施設の方たちが編んだニット帽子。これがとても
かわいくて、もっと売れたらいいのにといつも思っていた。
そこでディナーショーの受付の横に展示ブースを設け
飾り、PRしてもらった。
さらに、一応ドレッシーな衣装を着用していたが、
その帽子をストールを身に撒いて、客席に登場。
それが大変受けて、
そのためかどうかわからないが?その日、かなり帽子やストールが売れたと
きいてピエロになってよかったと思っていた。

と同時に、この帽子は、あの人にプレゼントしようと
自分が被った瞬間に思った。
抗がん剤治療をはじめたあの方にだ。
きっとこれから寒くなる季節というだけでなく、
外出がつらい、人に会うのがつらい時期だろう。
せめてあったかくてかわいい帽子があれば気分も晴れるかな。
ディナーショーも無事終了し、
早速、ご本人に打診したら、すこぶる喜び、あの色がいいこの色が
いいと喜ばれ、作業所にも無理を言い、大至急お送りした。
とても喜んでくださった。治療の辛さが少しでも和らいでほしいと思った。

帽子は人をおしゃれにするだけでなく、元気にしてくれる。
とてもいいことだ。しかも障がい者の方が頑張って作って
くれたものを身に付けたら、私も頑張ろうという気持ちになる
はずだ。
愛の帽子コミュニケーション。大切にしたい。
早く春になって、お元気になってほしいとの願いを込めて・・・。

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