表情も、腕のうち。

演奏したり、話をしたり、踊ったり・・。
世にはいろんなパフォーマンスがある。多様な表現があるが
最近、気になるのは、その演者の「表情」だ。

早朝に流し見しているNHKのクラシック音楽番組では、
これまで知ることのなかった音楽家たちの演奏に触れることができ、
楽しませてもらっているが、
腕自体も、もちろん素晴らしいが、それにとどまらず
最近はどんな顔つきで弾いているかを楽しませてもらっている。

そして、改めて表情も腕のうち、と思うようになった。

悲しそうに、うれしそうに、さみしそうに、希望に満ちて・・・
と、表情豊かに弾いている演奏家の音色には、奥深さを感じ、
また音楽自体が生きている感じがする。
あるいは、演奏者と作品が一体になり、新たな世界を創りだしているような
気になり、こちらもその世界についつい、引き込まれる。
単に、指先の、口先の、手先の演奏・演技だけでは、魂は揺さぶられないのだ。

フォーレ四重奏団なる楽団の演奏で、女流バイオリニストの演奏を見た。
なんとまあ、表情豊かに演奏されているのが、とても素敵だ。
一目で釘付けになった。
クラシックの世界にも、こんな自由に表現する奏者がいるとは嬉しい限り。

表情で弾く。これは大切だ。
もちろん技術は前提だ。下手であってはそんな表情も逆効果だ。

弾けるようになるよう練習を重ね、テクニックを磨いた上に
表情を乗せていく、魂を入れていくという順番か。

いやはや、クラシック音楽はなんと奥深いことか。
年を重ね、だんだんその味わいがわかり始めてきた感じがする。

表情も腕のうち、作品をつくる重要な要素。

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