晩秋の夕暮れ、移動中にメールが入ったようだ。
信号待ちになり、スマホを見てみると、
先日、コンサートでお世話になった方からだ。
明日から、1年4か月ぶりの抗がん剤治療に入るので
しばらく会えません・・・・春になったら・・・。
という内容のメッセージに信号が青になっても
立ちすくんだままになる。
そうか。明日からか。いよいよ・・・か・
ずっとこの決心について、会うたびに話をされていた。
これをやれば、また元気になれるから。
また復活できるから。
と。
その治療前の一大イベントが、先日開催いただいた
コンサートであった。
「念願のマーサのコンサートもやったり、妹の
家にも遊びに行けたし・・・・」
治療までにやっておきたい、おかねばと思うことを
やったから。という悔いなし・・の気持ちも
伝わってくる。
私はすぐメールではなく、電話をかけた。
メール送ってすぐの電話にいささかびっくりされていた
様子。
「春まで、待ってますから。絶対に、また美味しい
ごはんを一緒に食べたいですから。」
スマホの向こうに、笑顔が見える。
覚悟、決意、いろんな強い気持ちがみなぎっている
感じがした。
病気をされている方には、言ってはいけないのに、
やっぱりこの方には
「がんばってください」
とエールを送ってしまった。
わかってもらえる人だから・・と思いながら。
まだ冬が来ていない。白いものも空から降ってきていない。
なのに、
私はもう春を待つ。
春よ早く来て。
彼女の元気なカムバックを心待ちにして、
その人につくった「想人」を口ずさむ。