政治家とは、言葉使いのプロでなければならないが、一見新しい、
珍しい言葉を使うとインパクトもあるせいか、その言葉探しも重要な
仕事のひとつかもしれない。
最近では、個人的に、とても懐かしいと思う言葉が登場し、
今、そこで使いますか~とちょっと驚いた。
それは、「AUFHEBEN・・アウフヘーベン」という言葉。
私にしてみると、これはまさに学生時代に好んで使いたがった
哲学用語のひとつで、本当に30年ぶりにこの言葉が政治家から
出てきたので、政治家とは永遠の青春人かも?と思った次第。
このアウフヘーベンは、ドイツ語であり、上に上がる。あらゆる
対立を乗り越え、高みに向かっていくという「止揚」と訳される。
あらゆるものを排除して、自分だけ上昇していくのではなく
そこには許容、寛容というものが含まれていると解釈する。
歴史の、世界のいろんなものを吸収し、成長し続け、目指す
頂点に向かうというイメージだ。
この言葉は私の大好きな、そして尊敬するベートーベンやゲーテと
同時代(確か1770年生まれ)の哲学者、ヘーゲルが歴史哲学や
精神哲学において使っていた言葉と記憶する。
私はこの言葉が好きで、まさに1,2,3と三拍子で高みに
あがり、成長していく、上昇する・・という、そんな人生を
歩んでいきたいと若いときから思っていた。
そう、「グラン・ルー」~人生の観覧車~は、まさに止揚の
シンボルでもある。
1,2,3♪1.2.3♪と上昇していく世界観がとても好きで
この言葉を覚えた30年前から、思えば、今もそのスタンスは
変わらないが、最近、この「アウフヘーベン」という単語を
聞くことはなかったし、哲学書以外で触れる言葉でもなかった。
よっぽど、探したのだろうか、小池さん。
ま、この方が使われるなら、まあ、似合う。
誰が使おうが良いが、哲学的な重みもある言葉だ。
しっかりかみしめて、言葉を体現していただきたいと
切に願っている。
ヘーゲルが今の時代生きていたら、世界の歴史をどう見ただろうか。
ふと、そっちに興味が向いてくる。