バックミラーから「お久しぶりです」

再会というのは、いろんな場所で、いろんな場合に起きうるものだ。
先日は、あの人混みの東京駅で、何年かご無沙汰していた知人をみつけた。
人混みをかき分け、近づいて声をかけたら、その人もたいそう驚かれ、
その場で少し立ち話に花が咲いた。
かと思ったら、今度は、たまたま乗ったタクシー。
私が乗った瞬間から、その人はわかっていたようで、
行先を告げるのが先か後か忘れたが、
「お、お久しぶりです」
と運転手さんから声をかけられる。
バックミラーに移った顔を見て、すぐにわからなかった。
何年か合わないうちに体格が変わられたようで、また帽子もかぶっておられたので
すぐにわからなかった。
「どこかでお会いしていますか?」
と聞き返すと
「ええ、以前・・・・でお世話になったAです。」
「ああ、あのAさんですか。いやー、わからんかった。今、タクシーのお仕事なんですね」
そこから目的地に着くまでずっと話し続けた。
近況もおききし、転職の背景なども話してくださった。
実は最近お会いしていないので、どうされているか・・と気になっていた一人
だったのだ。
まさか、タクシーの中でお会いするとは。
彼は車をおりるとき、タクシー会社の名刺に自分の携帯電話を書いて
渡してくれた。
「いやー、今日はお会いできてよかったです。またどこかでぜひ」
握手をして車を降りた。
再会の機会は、どこにあるかわからない。
ある日突然、懐かしい人に遭遇する。その瞬間に心があたたまる。
再会、今日もどこかで?誰かと??。
予期しないことが起きるのが、面白い。

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