「そんなもん、自分の腹、痛まへんし」に??

京都へ行くと、たちまちに関西弁になる。はんなりとした京都弁、少し吉本流の漫才チックな関西弁が聴けたり、こちらもそれらにあわせて、返答のテンポや間が変わるのが我ながら面白い。京都は全国で人口に対し、タクシー台数がもっとも多い都市だそうだ。確かにそうだろう。どこにもいる、どこにいても当たり前な感覚がある。観光地だから競争が激しいが、各社ともがんばっておられる。四葉のクローバーのタクシーもあれば、ホテルマンのようなおもてなしサービスのタクシーもあり、安さを売りにしていた会社もあり・・・。会社によってその特徴もいろいろ、さらに運転手さんの多くは、他県のドライバーよりも口がなめらかで、話がうまいというか、好きというか、無口な人にあまり出会わないのが京都のタクシー。また地域情報の提供もプロ並みの方から、とことん自分の生活圏情報限定で強い方から、これもさまざまだ。今回、たまたまビニル傘~しかも新品~を何本か座席の専用スペースに立てかけているタクシーに乗った。乗ってから気づき、驚いた。新潟では最近、地元の新聞を助手席の後ろに設置し、「ご自由に車内でご覧ください」というサービスがあり、それもなかなかと思っていたが、ちょうど雨が降ってきたところに乗ったせいもあり、この傘サービスはすごいなと思った。「この傘、売っているんですか?」「いや、ただですわ。もってってくらはい」「へ?でも持っていったら返せないですよ。」「いいんですわ。返さなくても」「へ?新品の傘なのにタダですか?」正直驚いた。コンビニでも最近ビニル傘は安価に買うことができるが、それでもタダではないし、使い捨てどころかずっと使えるものだ。「そんな、悪いしお金払わなあきませんわ」「ええってお客さん、会社のやさかいに、そんなもん、うちの腹いたまへんし、そんなきいつかわんと、もっていっておくれやす」という言葉。ま、会社のサービスで運転手さん個人のものじゃないから、気を遣わなくていいよということだろうが、関西人だな~と心の中で苦笑した。
自分の腹いたまへん・・・これは京都で時々聴いたことがある言葉。本音であり、ちょっと強烈であり、ちょっとシニカルでもあり・・・。この人の腹はどんなかな?と思わず思ってしまい、さらりと言われた一言に京都人の一面もかいまみた感じ。悪気もなく出る言葉にその街の文化や歴史も出るのかしらん。結局、車に乗っている間に雨が止んで、傘は不要となった。会社の腹を痛めることもなく、良かった。いいサービス、各社それぞれ。でも一番心に残るのは
言葉。その一言だったりする。その一言を口にするかどうか?やっぱり、京都は刺激的で、いろんな意味で学びが多い街でんな~。

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