文字がうまく書けず、また本来得意?な長文も書けず、鍋やカップを持てず・・
・人前ではそんな動作に関わるときに
「腱鞘炎になってしまったので、すみません」というと、
「いやー、ピアノの練習のしすぎですか」
と、同情していただくがそうではない。
パソコン、さらに長年の荷物運び・・。こっちの方の職業病だ。
そして、その影響は、肝心なピアノにも大きく左右する。
オクターブが開きづらい、指をくぐらせる奏法がしづらい、
思い切って指を開くと激痛が走る・・。ということで、
練習をするのも怖い感じ・・・。
そうはいってられない本番。
練習していると、指が慣れてきて、どうすればどうなるかわかってくる。
そして、どんどん調子が戻ってきて、本番には、まるで何事もなかったように
演奏できるのだ。
とはいえ、今回はベートーベンのテンペストを弾くときは、力が入らず指が
泳いだ。が、これも嵐や津波や、人間の苦痛を表現したかったので、
指が連れて、演奏が多少荒れても、よりその効果が出るという皮肉な状況。
とにかく、一心不乱に鍵盤に向かった。
本番終わるとき、何もいたくない。無事終わったという達成感と安堵に包まれる。
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でも、ここで終わらない。
しばらくしてから、うずき始める。そして翌日、翌々日・・とだんだん
痛みが激しくなる。
アスリートたちもきっとそうだろう。
痛いな~。
でも、なんとかカバーして、次の本番に向かう。
パソコンのキーボードを叩く指はなんでもいい。打てればいいのだ。
ピアノを弾くのはそうはいかない。
「手の使い過ぎですよ。安静にしてくださいね。」
ドクターの優しい声が、身に染みる。
長崎のコンサートはピアノではなく、オルガンだ。
だから、やさしくやさしく、触れることにしよう。
毎日が本番。加減しながらパワーを出せるように。
それがプロなのだから。