台湾に通っていた30代後半から40代前半。優秀な通訳が支えてくれたおかげで、
中国語の上達は叶わなかったが、今から思えば自分にとって自営業を行う上で、
この上ない貴重な経験を積ませてもらった時代だ。日本の流通の良さを台湾に・・。
コミュニケーションの観点から、台湾の流通関係者の皆様にお伝えし続けた8年間。
そのチャンスを授けてくださったのが、当時から「台湾流通の神様」と呼ばれてきた
徐さんだ。
マーケティングの世界組織での交流からの出会い。台湾での国際会議のパーティーで
ぺーぺーの会社員であった自分が、運よくこの台湾のトップ企業の社長の隣に座らせてもらえた。
若かったから、女子だから・・という特権だったのだろう。
隣の席に座れたことが今後につながったのだから、なんとラッキーな人生か。
文通、書籍の送付からe-mailの時代になり・・・今はSNSの時代へ。
台湾との仕事もe-mailがある時代になり、助かった。そう、
パワーポイントがない時代のプレゼンはやたら荷物が重かった。
(腱鞘炎はこの時代の重い資料運びも影響しているのかもしれない・・。)
とにかく、自営業の自分を常に勇気づけ、支えてくれたのは、この台湾時代の
経験。
この恩人であり、私の人生の恩師である、徐さんと久しぶりに再会。
しかも名古屋でお会いできることになった。
台湾の企業のオフィスの立派な総経理室でお会いする時と違い、緊張感もない
くつろいだ感じで握手する。何年振りか、懐かしくてくしゃくしゃの笑顔になる。
そして、お茶を飲みながら、近況含め、人生や仕事のことについて語り合う。
いや、拝聴する。
次の誕生日に70歳になられるとのこと。
そしてその春、新たなステージに向かわれるとのこと。組織のトップとしての仕事は
卒業されるとのこと。
「70歳から80歳はね。自分の好きなように、好きなことのために生きるのです」
と笑顔で語られた。
台湾では、流通の神様といわれてきたこの方。私にとってはその領域を越え、
人として、ひとりの人間としての生き方にも心底共感でき、尊敬し続ける人だ。
努力の人であり、慈愛の人だ。
社会活動、奉仕活動にも大変熱心だ。
卒業といっても、やはり地域創生、障がい者雇用・・・などなど仕事の話になると
目はきらり輝く。
あっという間の90分が過ぎる。
「台湾でコンサートやりますかね」
よし、来年に向けて・・。
また、くしゃくしゃの笑顔で、握手して別れた。
台湾の人とはいつも「さよなら」ではなく、「再見」だ。ここがいい。
日本と台湾を結ぶ大きな仕事をし続けてこられた、この神様には会うたびに
新たなるパワーを授けてもらえる気がする。
「今尾さんは、いい友達だからね」
もったいなく、ありがたいお言葉が私の新たな底力になる。
人は肩書きを越えて、人対人でつきあえるのが一番だ。