医者は技術サービス業。

瞬時に痛みをとってくれる医者がいたら、それは最高だ。
でもそんな願いはなかなか叶わない。
また、いいドクターがいる医院はやたら待たされる。
人気があるから一人のドクターに対し、半日では見きれない程の患者が先生を頼って訪れる。
このたび、評判の良い医院を東西掛け持ち利用している。
どちらもリハビリ設備も充実し、先生の腕も確からしい。そして、理学療法士が熱心に
面倒見てくれる点も良い。

好きな先生は、腕よし、対応よし、熱心で丁寧である。両院ともかなり待たせるが、私が好きな医院は、
「お待たせして申し訳ありません」という姿勢が伝わってくる。
東京のその医院では、いつも待ち時間が表示され,
200分以上の待ち時間というのには、
最初は驚いた。しかし、表示がしっかりしており、待合のシステムもできているので、
途中外出したり、ネットで残り待ち時間を確認することもできるなど、工夫されている点
で気持ちよく諦めもついた。
一方の医院では、混んでいるから待てば良いというそんな態度が、受け付け担当からも伝わってくる。
受付のスタッフの言葉遣いも敬語ではなく、タメグチだ。ここも大切なんだけど・・。
この態度で、患者のこの医院への好感度はかなり変わるはず。

今回、利用している医院で、希望していたいつもお世話になっているいい先生に当たらず、
代わりに、たいそう年老いた、椅子にふんぞりかえって座り、一目でえらい人なんだな!とわかる
肩書きの人に当たったが、こちらはたまらなく痛いからきているのに、「痛いのはあたりまえ、
気にするな、50にもなれば走れん車と同じ、そこらの車の博物館入りになる車と一緒だ。
クスリとリハビリやっとけ。へ?どんな仕事している?大したことない。痛い痛いと気にすると、
うつになるぞ。そこにある資料読んだか?」
腱鞘炎の説明チラシに目を向ける。チラシを読めではなく、今日の痛みを説明してほしいに
・・・こちらの心に反することだらけの、決め付けと否定の会話。
患者を馬鹿にした診察だと不快感でいっぱいになった。さすがに早く退散しようと思い、
また、あとで思えばそこで横っ面でもはってやりたかったという感じであるが、
そのひどい接客を、看護師たちは見守っている。
なんだ?ここは?この先生はなんなの?老害?来なきゃよかったと後悔した。
まずくて、接客の悪いレストランに行ったあとの後味より、痛みがある分もっと悪い。
どんな有名スポーツ選手が来ていようが、立派な設備があろうが、いろんな役職をやってきていようが
関係ない。

患者は痛いから、辛いから来ているのだ。
医者は技術も設備ももちろん大切であるが、それ以上に励ますとかちゃんと説明することで納得し安心でき、
痛みが消えることがあるはずだ。
二度とあの医者の診察は受けまい。
他の患者にもそんな風にやっているのか。
と怒りが沸騰しそうになった。

が、冷静に考える。
医者は選べばいい。
自分がいいと思い、信じられる医師に出会うのは大変難しい。口コミを
頼りにしても、人それぞれ症状や嗜好が違うため、感じ方は異なる。
ああ、そうだ。全ての医者が日野原先生ではないんだ。みんな、ああだったらいいが、
そんな人ばかりではない。
一緒にしてはいけない。

技術優先でなく、サービスも大切にできる医者がいい。
そうなると近いから、だけが選択理由にはならない。
医者は技術も含め、人の命、カラダを支えるトータルサービス業だ。
本当にむつかしい仕事だ。
技術よし、それ以上に患者に寄り添る、そうしようとされるドクターを尊敬する。
これからも、行きつけの医者を探し続ける。

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