「ここで生まれたのか~。」の感動を得る場所

いろんな偉人の出身地。故郷がその人をどう扱い、後世に伝えるかは
とても大切だ。
ある経済界の偉人の出身地。その人の資料館をオープン!と大々的に
お金をかけたチラシを他のミュージアムでそれをみつけたので、へえ!と
喜び勇んで、そこを出かけてみると、はっきりいってそのご本人や子孫に
失礼と思うような、しょぼい扱いでびっくり。チラシとまるで違う。
市が管理する健康施設の会議室を記念館として、パネル展示だけで、その人を
紹介しているが、そこに来る人はどれだけいるのか?
わざわざ来た人はどう思う?という印象だ。
余った箱物で、無理やり作った展示室のよう・・・。
もともとその人のことは他県の展示室で知った。そこの展示はよくわかったし、
伝わった。だから期待して、出身地の展示室にも訪ねてきた。

その偉人が、ここで生まれ、偉業を成した。世界遺産になったあの工場もこの人が
作ったとのこと。どうせ展示するならば、いろんな意味で敬意を表さなければ・・。
少し残念な気持ちでそこを去る。

その後、そこから30分ほど、車で移動した近所の町。
世界的に有名な、日本で初めてパリに留学した画家の美術館があると知り、
ついでに出かける。この著名な人のふるさとが、その街の出身だったのだ。
そのことを初めて知り、でも期待せずにそこへ向かう。

この方のパリを描いた絵画は、竹橋や京都などの美術館でよく見かけた
ことがある、好きなタッチの油絵だ。
この絵を見ると、パリへのあこがれがより一層強くなる・・そんな
作品。
その美術館は、この町出身の画家の作品を、大変丁寧に展示しており、
またパリのアトリエまで再現していた。
敬意を持って、その街が生んだ芸術家のことを紹介しているのだ。
これまで知らなかった、この画家の人生に触れ、そして
こんな近くの町で生まれた人が、明治時代にパリへ向かったとは・・
感動と勇気を得た。

違う分野ではあるが、行政が地元が生んだ偉人の功績を後世に伝えている
例。全く違う印象を得た。

訪ねる人が、残念と思うか、ああ素晴らしいと思うか。
資料館や美術館と銘打って、発信拠点をわざわざ創るならば
きちんとするべきだろう。
前者の町は、とても残念で、後者の町は、ちゃんとやっている。
もちろん経済人と、芸術家では見せ方、伝え方の難易度も
違うのかもしれないが。

「ああ、この方がここで生まれたのか~」
ふと、以前わざわざ訪ねたドイツのボンにある、ベートーベンの
家の屋根裏部屋を思い出す。

後世の人が勇気と刺激を受けることで、後に続こうと
思う人が増えることが大切だ。

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