指を変えて弾けばよい。

右手の腱鞘炎が完治せず、それでもなんとかつきあおう
と奮闘しているなか、今度は、出張の移動中に左手が突然腫れだした。
「まさか・・」1年半前に初めて知った感覚がよみがえり、整形外科に駆けつけた
ところ、予想どおり腱鞘炎。
両手とも、腱鞘炎になるとは・・。とほほ・・である。

右手は利き手だから、大変と思っていたが、
左手は右手を支える大切な手。
とくに1年間、右手をかばって左手に無理をしいていた。
右手を使わないように、使わないように・・。
でも、その分がんばる左手が疲れてきたのだ。
「もう我慢できない」と悲鳴を上げたのだ。

困ったのは迫るライブ。
ピアノ演奏・・。
これまで右手だけを気にしていたが、ピアノ演奏においては
右も左もどちらも主役だ。
ベートーベンのテンペストなど、出だしの左手がきつい、
指をくぐらせると激痛が走る。
困った・・。

・・・・そうだ。違う指で弾けばいい。
子供の頃、楽譜に書いてある指番号を違う指で
演奏すると、先生に
「違う!」
とよく注意されたため、指番号ありきの奏法が
当たり前と思ってきたが、
背に腹は代えられない。
ということで、慣れないインチキ指番号で
弾いてみる。
なんとか弾けそうだ。

どんなときも、「これしかない!」
はない。
今の自分にできることを、自分全体で考えればいい。
自分が今できる形でやればいい。

五体満足でない場合でも、絶好調でなくても
できるやり方で、最高のパフォーマンスを目指すのが
プロの仕事。

指を変えて弾けばいい。
よし、本番がんばろう。

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