ひと工夫、熱心さが人を引き寄せる。

時折、いろんな業界の展示商談会へ行く機会がある。
食べ物やファッション、ホビー業界の展示商談会は
見た目も華やかで、B to Bであっても、わかりやすいが
業界によって、展示会も様相が異なる。
モノづくり系の展示会は、製造業を支える企業が何千と
出展しているが、どちらかというと「THE オトコの世界」。
(それでもずいぶん女性の出展者、来場者も増えてきた)
モノづくりの要素・技術をみせるというのは、完成形が
見えなかったり、どこで使うものなのかもわからない・
・ということも多いなかでのプレゼン合戦。
しかし、製造業相手の営業というのは難しく、とくに
新規営業をするのが難しい業界でもあるため、展示会は
有効で、継続して出展している企業も多い。

とはいえ、中小企業にとっては、展示会出展費用は
バカにならず、また単独出展よりも共同出展の方が
広報・集客効果があるため、自治体の関連組織
が申し込み、そこに相乗りする企業が多い。

今回、出展企業の応援のため、会場に向かう。
1年かけて、下見をし、準備を計画的に行い、初出展。
自社の新技術をアピールするため、全力を尽くす
企業もあれば、毎年、恒例行事として出展し続けている
企業もある。
お金をかけたブース、目立つように工夫したブースには
人が集まる。でも、そのあとが肝心だ。
視線を向けてくれた人に、どんなアピールができるか。
キャッチコピーを工夫しましょう。ブース内にステージを
つくって立体的に見せ場を作りましょう。面白そうな、意外性あふれる
表現で、興味をひきましょう。ブースへ引き込むために
配布物を用意して、声がけをしましょう・・・。などなど
これまで、いろんなことをお伝えしてきたが、
それをちゃんと実践している企業は、まず「見た目」
が違う。
そしてさらにコミュニケーションを深める工夫。
ある電子部品を製造する会社は、自社の製造部品の
パーツ(まさに米粒サイズ)たちを試験管に入れて
ずらり並べ見せる。
いいディスプレイ!その試験管を見ると、そこに1本
ホンモノの米粒が入った試験管が・・。
「コシヒカリ」と書いてある。
思わず、客も、企業もにんまりする。
「そう、当社はお米の美味しい魚沼の会社なんです~」
という話題から、緊張をほぐしつつ、自社製品を
しっかり紹介していくという流れ。
小さなアイデアであるが、その遊び心に感動する。
そんなこんなの工夫をしているせいか、その会社の
ブースには人が足を運ぶ。

そして、事前に業界紙に記事掲載が成功した企業は
その記事を活用し、お客を引き込む。
1年間準備してきた本番であるから、会社から出ろと
言われたのではなく、自分から出たくて来た展示会
であるから、すべての行動に熱が入る。
その熱いブースには人が集まる。

派手とか地味とかではなく、お金をかけているから
ではなく、規模ではなく、真剣にビジネスチャンスを
得ようとしているかどうか・・

会場全体を見ても、差は明らかだ。
じっとブースの前に立っているだけ、座って待って
いるだけではお客さんは入りづらいだけだ。

とにかく、どんな本番でも、ひと工夫と熱心さがすべてである。
日本の製造業を担う技術が全国から集まる。
こつこつ、真面目にモノづくりを行っている企業。
日本は、中小企業のがんばりに支えられていることを
改めて学ぶ。

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