今、通うある外国語の講座。
マダムのサロンかカルチャーセンターのような空気はなじめないが、
大学の講座となると、来られる方も多様で興味深い。
たった3か月の講座。十数名のクラスであるが、不思議と毎回座る席が
固定化される。私はなぜか右後ろがお気に入りだ。
そして、その前がいつのまにか指定席になっているおじさま。
白髪頭の、学者風な風貌が興味をそそられる。
そして、授業の合間にふとしたきっかけで、こっそり名刺交換。
なんとそのジェントルマンは原子力関係の研究者であることを知り、
こういう違う業界の方と出会えるのは、学校のおかげと貴重な
縁に感謝。
講義日程がまもなく終了する前に、この人がどんな人なのかもっと
知りたいと思った。
いただいた名刺に、「今度、授業終わったあと、お時間あれば
30分ぐらいお話しませんか?」
とメールする。すると、なんとまあ、今まさに習っている言語での
返信。すごい、習いたてなのに、さっそくその言葉で返事をされる
とは、やっぱり研究者だ、勉強熱心なんだ。
私はそのメールに感心し、でもその言葉を間違ってもWEBで簡単に
翻訳してはならぬ、と一語一語辞書を引きながらその文面の意味を
追いかけた。
「ふむ?なんかわからない文脈だ、これ合っているんかな」
できれば、こちらもその外国語で返信したいと思うが故、
いただいた文章の解釈にうーん。悩んでいてもしょうがないので、
そのWEB翻訳にコピペでお世話になる。瞬時に訳されたその文章は
やっぱり意味不明だ。
返事に困っていたら、ご本人から再びメール。今度は日本語の文面。
「先日お送りしたメールは、わけわからん内容でした。正しくは・・
・・・・です」との内容。
あ、理解できていなかったのは、こっちの不勉強だけでじゃなかった・・・と安堵。
そして、先日の授業の後、大学構内のカフェでお茶をする。
たった3~40分の会話であったが、とても興味深い話題であった。
定年後、現職時代の仕事を違う形でサポートされ、また全国で
技術者育成のための研修をされ、その一方、ひとりで中南米へ
旅したいと、NHK視聴覚学習に飽き足らず、母校の講座を受講。
学生時代を懐かしみながら、わが子の自立を安堵しながら、
ほっとコーヒーを飲み干す姿が印象的。
広島出身で、おじいさまが原爆で亡くなり、建設業をされていた
お父様が、なんと原爆ドームの修復保存にかかわっておられた
話をお聞きし、その生い立ちが原子力研究につながった・・・。
などなど、他ではなかなか出会えない新たな縁が生まれた。
私の生い立ち、なぜ今、外国語なのかなども尋ねられ、
ザビエル、ブエノスアイレスの話題には、大笑いしながら
興味をもたれた様子。
「おもしれえなあ」
「今度、アルゼンチンいくとき、教えてくださいよ」
と、きさくで、ノリも良い。
いくつになっても学ぼうとする人が好きだ。
いくつになっても、わが道をいこうとする人が好きだ。
意外なところで、不思議なアミーゴに出会う。
自分の知らない世界に導いてくれるよき縁を
これからも見つける、心の旅を楽しみたい。