旅は初心を思い出す、人生のハーブ

はじめて飛行機に乗り海外に行ったときの感激・・・は経験した人には、等しく生涯忘れることのない貴重な思い出になっていることだろう。パスポートの手続きから荷造り、空港での手続きにもどぎまぎし、初めての機内もきょろきょろ、食事も撮影したり(そのころはスマホも携帯もなかったが)とくに入国の手続きでは何を聞かれるかどきどきして・・。まったく余談であるが、外国への入国時によくきかれる質問「何の目的でわが国に来たのか?」の答えに「斉藤寝具店(さいとうしんぐ・・観光?サイトシング?)と覚えて準備した人の話を以前聞き、大爆笑したことを思い出した。それぐらい海外渡航とは非日常の経験であった。その頃と比べ、ネットでの情報収集が容易になり、なんでも調べられるから海外に行かなくてもいいと思う人も増えているようであるが、知っていると体験している、知識がある、肌感覚があるのは大きな違いで、やはり旅とは私にとって、自分の人生の価値を高めるために必要不可欠な経験であり続けている。(国内外を問わず)
家を所有することよりも、旅をし続けることの方、結婚して安定するよりも、常に刺激を受け続けて変化していきたい・・というおかしな価値観、生まれながらのジプシーライフ思考なのかもしれないが。
この十数年、出張の機会もありいろんな国へ移動、マイレージも活用し、ビジネスクラスへ
アップグレードということもあり、いつのまにかビジネスクラスの快適さが基準のようになっていたが、久しぶりにアップレードせず、エコノミーでアルゼンチン行きとなる。
ビジネスクラスに比すれば、椅子も食事も確かに違う。が、最初はこれで感動していたのだ。食事もよく考えたらこれで適量で、ちょうどいい。と若い頃の感覚が戻ってきて、
ああ、旅の初心を忘れないことも大切だと思い直す。はじめてのビジネスクラスは、20代後半のこと。NYで乗る空港を間違え、手元のドルもなくなって困っていたとき、そこでたまたま知り合ったその航空会社の社員が、「私についておいで」と、正しい空港までスタッフ専用のバスで送ってくれて、さらに社員特権?でこっそりアップグレードしてくれた・・・。あのサプライズギフト、感動は今も懐かしい。
慣れるとどんどん当たり前になることが多い。初めての感動を忘れないことで自分の暮らし、生き方を見つめなおすこともできる。
旅はそんなことにも役立つ、人生のハーブのような存在だ。

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