耳栓、常備。

人間の五感は開かれている。
と書くと、かっこよく聞こえるが、ここではちょっと違う見方をしてみる。
口は食べよう、話そうという意志のもとに、開かれ、その機能を発揮する。
目もそうだ。見ようとして目を見開く。見たくないときは、目を閉じればよい。
目を閉じても明るすぎるときは、サングラスなど使用する。
手や足も、意図して触れるというのが 基本的。もちろん電車の中で、意図せず、
他人に触れてしまうこともあるが・・。

鼻と耳。これは基本的に開かれているのだ。
鼻は意識しなければ、ずっと匂いが入ってくる。
息をしなければいけないから、当然である。
だから、いい香りも臭いにおいにも、敏感なのは鼻がいつもオープンだから。
鼻を閉じることはできない。

そして、耳。
これも基本的には全部入ってくる。いつでもオープンである。
もちろんより聞きたいものに意識を集中すれば、よく聞こえるが
聴きたくないものが入ってきてしまう・・
昨今は電車の中でも マイルーム状態を楽しむひとも多く、
音楽音が漏れていたりすると、大変不快で、本当に困ってしまう。
聴きたい音楽はいいが、聴きたくないものが入ってくるのは阻止したい。
同じように、先日、ある特急電車の指定席に乗った際、
聴きたくない音について困る一コマがあった。
ななめ後ろの席に座ったおばちゃん二人が、ずーっと大きな声で
2時間半、話し続けている。
おばちゃんと呼ばれているおばさまと、姪っ子らしいおばちゃん。
会話のなかで「おばちゃん、おばちゃん」と、姪っ子のおばちゃんが
初老のおばちゃんを呼んでいるので、二人の関係がわかる。
まあ、久しぶりに会って楽しい旅路なのだろう。
ここは、公共の空間だ。という認識はなさそうだ。
すいているので構わないということかもしれないし、
いつでもそうなのかもしれない。
すいているから、席が近いせいで、お二人の話がずっと
まる聞こえ。その人の家系図が描けてしまうほどに
詳しく聞こえてしまう。
眠りたいが、声が大きくて眠れず、本を読むにも声が
気になって集中できない・・。
困ったな~。
すると車内販売のお姉さんがワゴンをひいてやってきた。
ああ、こんなときに「耳栓も、あります」
なんてアナウンスしてくれたら、いいのに。と心から
願ったが、そんなことは言うはずがない。
とにかく、どうすればいいか・・・と、ミスターキーンの
ような状態で2時間半を過ごし、電車を降りた。

それから、決意した。
イヤホンか、耳栓は常備すべし。
そして実行。
成功であった。
翌日、再び新幹線に乗る機会があったが、今度は後ろの人の
キーボードをたたく音と、携帯から時々響く、電子音。
これも耳に入れたくない。

耳は閉じることができない。
なんと、人間は不自由なのだろうと思った次第。

このご時世。、耳栓。常備がおすすめだ。
スマホありなしに関係なく、人のことを考えられない人が増えていることは
とても残念だ。

つい、耳を澄ませたくなるような、キレイな愛らしい音
に出会いたい。

カテゴリー: Essay (Word) パーマリンク