「年なんか、ほんとうに関係ないからね!」と宣う38歳

平戸のホテルで出会った、演歌歌手は「はる美」さんという。
観光客が多く泊まるその施設では、夕食時にカラオケで歌謡ショーなるものを
演っており、そのアトラクションが名物でもあるようだ。
どこか懐かしい昭和のショー。はる美さんはそこで歌っている。
昨年、たまたま彼女のステージを観たのがご縁で、それから文通がはじまった。
大分から4時間かけて、平戸まで来られているとのこと。
「昌子さんもこっちへ来る日がわかっていたら、ここでやったら?」
とありがたいお声もかけてくださる。同業者とも思ってくださって、ありがたい。
いやはや、ご年配のお客様が多い大食堂での演歌ショーは、なかなかの圧巻で、
なんといっても懐かしく、親たちの世代にはたまらないだろうと思う。
さて、その彼女のステージを久しぶりに魅せていただいた。
いやはや、普段着と180度違う、きらきら衣装をまとい、髪もテレビの
歌謡ショーでみるような金髪アップ、THE ではなく、ド・演歌の世界。
はる美さんは、ずっと東京で活動をしてこられ、最近、大分の実家に戻られたが
今も変わらぬ現役歌手だ。
実際の年齢は私よりはるか上であるが、ステージ上では本当に若々しく、歌声も
パワフルだ。演歌歌手というのは、アイドル歌手とは違い、おなかから声が出さねば
ならないが、はる美さんはさすが、よく声が出ている。
お客様のことをよく考えた、おもてなしトークも共感する。

彼女がステージを終えたあと、客席をまわり、お客一人一人に声を
かけるのも彼女のやり方だ。そして私のところに来たとき、笑い
ながら、
「ね、年なんかさ、本当に関係ないから。」
とささやく。
そう、ステージ上で彼女は毎日、永遠に38歳なのだ。
だから、私も同い年を目指す。
「また、お会いできますように」
再会をお互い喜び合って、またそれぞれ元気に走り出す。
演歌か~。いいな。世界にはシャンソンも、ファドも、タンゴもあるが、
日本の演歌は、元気になる素がいっぱいだ。
はる美さんの元気な歌声で、私のなかにまた新たな火がついた。

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