平戸のホテルで出会った、演歌歌手は「はる美」さんという。
観光客が多く泊まるその施設では、夕食時にカラオケで歌謡ショーなるものを
演っており、そのアトラクションが名物でもあるようだ。
どこか懐かしい昭和のショー。はる美さんはそこで歌っている。
昨年、たまたま彼女のステージを観たのがご縁で、それから文通がはじまった。
大分から4時間かけて、平戸まで来られているとのこと。
「昌子さんもこっちへ来る日がわかっていたら、ここでやったら?」
とありがたいお声もかけてくださる。同業者とも思ってくださって、ありがたい。
いやはや、ご年配のお客様が多い大食堂での演歌ショーは、なかなかの圧巻で、
なんといっても懐かしく、親たちの世代にはたまらないだろうと思う。
さて、その彼女のステージを久しぶりに魅せていただいた。
いやはや、普段着と180度違う、きらきら衣装をまとい、髪もテレビの
歌謡ショーでみるような金髪アップ、THE ではなく、ド・演歌の世界。
はる美さんは、ずっと東京で活動をしてこられ、最近、大分の実家に戻られたが
今も変わらぬ現役歌手だ。
実際の年齢は私よりはるか上であるが、ステージ上では本当に若々しく、歌声も
パワフルだ。演歌歌手というのは、アイドル歌手とは違い、おなかから声が出さねば
ならないが、はる美さんはさすが、よく声が出ている。
お客様のことをよく考えた、おもてなしトークも共感する。
彼女がステージを終えたあと、客席をまわり、お客一人一人に声を
かけるのも彼女のやり方だ。そして私のところに来たとき、笑い
ながら、
「ね、年なんかさ、本当に関係ないから。」
とささやく。
そう、ステージ上で彼女は毎日、永遠に38歳なのだ。
だから、私も同い年を目指す。
「また、お会いできますように」
再会をお互い喜び合って、またそれぞれ元気に走り出す。
演歌か~。いいな。世界にはシャンソンも、ファドも、タンゴもあるが、
日本の演歌は、元気になる素がいっぱいだ。
はる美さんの元気な歌声で、私のなかにまた新たな火がついた。