4月からはじまった、近所の大学でのジャーナリズムの講座。学者やメディアの業界で
キャリアを積んだ方々の貴重な話を聴くことができ、自分の仕事にも生かせる点で
楽しく毎週キャンパスに足を運ぶ。
今回はNHKで長年番組編成に関わってこられた方の講義。
番組の構成、著作権の問題などにも触れながら、NHKの番組の作り方、
視聴者との関係についても幅広く話を聴いた。
人気番組であった「プロジェクトX」の放送開始時に向けて、番組がどう作られ
そしてモニター(視聴者)の声により、どう大幅に変更され、放送されたか
という実例も見ながら、NHKが意外と、視聴者の声をきちんと聴いてきた
ということを知る。
政治とのかかわりについても、本来は国に向かうのではなく、
国民・視聴者に向かいあうべき、放送局として努力をしてきたという点も
知り、本来のあり方を知り、少し安堵もする。
国営放送ではなく、ニューディール政策の理想に基づいて、誕生した視聴者とともに
創る放送局としてのNHK。
昨今は、ちょっとどうなの?という向きについても、局で働く現場の人々も
感じながら、自分の与えられた範囲で努力しているという。
NHKは国営放送ではない。
そしてスポンサーに媚びを売って作る番組ではなく、世の中にとって
必要なことを、わかりやすく伝える番組をつくるのが使命であるし、
受信料によって成り立っている局であるのだから、視聴者はモノを
いう権利もあるのだ。
だから、いうべきことはどんどんいえばいい。
おかしいことは、おかしいと言えば、必ず検討される。
世界に売れるコンテンツを有する、NHK。そして
デジタルアーカイブの技術も先進的だ。
過去のコンテンツを自在に取り出せるだけでなく、
最近はアナログ~デジタルの移行時に、どうしても
局で記録保存できなかった番組の映像素材を
視聴者から提供してもらうべく、
「番組発掘プロジェクト」をやっているということを
知り、これはまさにNHKならではの活動だと
感心した。
報道は今だけでなく、未来に向かわねばならない。
瞬時に報じるだけでなく、その素材を生かし、
次代に残し、100年経っても
「100年前の日本はこうだった・・・」
と報じる義務があるのだ。
いやはや、毎朝4時から「世界のニュース」で
はじまる毎日を過ごすことができるのは、
NHKのおかげだ。
改めて、情報を受信する側も、きちんとした意志と
向学心、判断力をもってきちんとメディアと
向かい合う必要性を感じた。
NHKには、さらにがんばっていただきたい。
ジャーナリズムのあるべき姿を示し続けて
ほしい。
期待し、応援したい。