ハンカチが濡れる日

演劇仲間の新作出演が続いている。
この業界は意外と地道であり、そして活発だ。
二人の役者からの案内。まったく同じ上映スケジュール。
しかも行ける日が1日しかない。
よし、この日で2か所を巡るぞ。両方観るぞ。
実は、演劇は映画以上に観るパワーが必要だ。
コンサートと演劇、映画は違う脳を使う。
特に演劇は、あくまでもライブであり、役者の生の
演技を(巨大ホールでない限り)目の当たりにするので
緊張もするし、ストーリーを追いかけるのに頭も使うので
観るには覚悟が必要なのだ。
しかも1日2本。
しかも横浜と高円寺。14時、19時 2つの会場の開演時間に
合わせて、スマホ片手に移動する。

1日2本の演劇鑑賞。
頭の中では、いろんなことを考えながら、感じながら
自分の作品のヒントをたくさん得ようと欲張っている。
頭ではそうであるが、気が付けば、声をあげて泣きだしたく
なるようなことも多く・・
鼻をすする音も、遠慮しなければならないが、我慢ならず・・。

今回横浜で見た、「螺旋とくも」は人間の性悪について、
そして幸せについて、祈りについて、神の存在について。
高円寺でみた「KUDAN」は福島原発後の被ばく牛を
飼育する牧場をとりまく、動物と人間関わり、人間の
身勝手さ・・・。
について描いた作品で、いずれも人間とは何か?
生存とは何か?について問いかける、強いメッセージ性に
あふれる力作だ。
作品自体に心揺さぶられる言葉、場面が多く、ついつい泣く。
さらに、役者の熱演ぶりに「いいぞいいぞ、がんばれ」
と思いながら、その奮闘ぶりに泣けてくる。

久しぶりに、ハンカチが濡れる1日であったが、
頭も心も豊かになり、
やっぱり、伝える人でなければ、発信する仕事でなければと
改めて思った次第。
自分が伝えたいことを伝えたいカタチで表現を
している仲間の存在を知ることで、
とても安心できるものだ。
たまには、こんな1日もおすすめだ。

カテゴリー: Essay (Word) パーマリンク