芝居に少しかかわることになって、その筋の方々との
交流も広がった。
作家、演出関係者、そして役者。
最近、前一緒に芝居をやった仲間の役者たちが、違う作品にも出ると
聞けばできる限り出向くようにしている。
その人が違う作品に出たら、どんな演技をするのかということ
への関心と、いろんな作品の内容や演出について知りたい
という興味による。
最近、わかってきたのは、役者という仕事は大した仕事だ。
役によって、まったく違う人生を演じるのであるが
ああこういう役もできるのかと感心することしきり。
1か月ごとに新作に取り組むというのは大変な努力が必要だ。
そして、あまたいる役者の中で、主役というのは1作品に
限られている。
もちろん脇役(この表現は違和感があるが)がいないと、
いろんな交わりがないと劇自体は面白くないので、
すべての役者が不可欠な存在ではあるが、
みな主役を目指して、日々努力していることは間違いない。
ある女優が以前わたしにこぼした。
「若い人はいいけど、もう私は年なんで~。」
役者の世界は若い方が優位なのだろうか?
でも、私にとっては、中年というか少し熟した、
あるいは少し枯れた感じの演技が似合う役者は
絶対必要で、やりがいもあると思っている。
要は多くの作家が、この人を起用したいと思い
声をかけてくれることが必要だ。
私はこの中堅世代の女優さんが好きだ。
彼女が楽屋でまっすぐにこだわりつづけて
稽古をし続けているその姿勢を知っているから
彼女がずっともっと活躍できるといいなと
思っている。
一握りの人が成功するといわれているこの業界で
あるが、可能性を持つ人々が多くいる。
厳しい競争の世界ともいえる。
私は、いつか彼女に演じてもらえる作品を
創りたい。いっぱいスポットを当てたい。
と、彼女の新たな作品への取り組みを見ながら
強く思った。
一度決めた夢を捨てない人が残れる業界。
その意欲、意地がすごい、素晴らしい。
好きな仕事なんだから、できること。
応援したい人がこうしてこの世界にも
じわじわ増えつつある。