実際に会ってみたくなる人。

ネット通販。
あまり活用したくないけれど、重いもの、そこでしか
手に入らないものは、利用することになる。
何年か前にリスボンで入手したワインが懐かしく、
たまたまネット検索したら、ヒットして、その後
その店の品揃えや売り方の工夫に共感し、何度か注文を
してきた。
店主のことは知らない。
ネットショッピングの入り口は品揃え、利便性と価格がポイント。
店主がどんな人かは二の次となる。
何年かの利用で、商品の不具合でクレームをメールしたとき
店主からのその謙虚な姿勢に、好感をもった。
メールだけではあるが、長年のつきあいのなかで、
このお店は応援しなければと思うようになった。
年に一度、思いがけず届く1本のワイン。
購入履歴に合わせて、顧客にプレゼントしているのだとのことで
このサプライズにも驚き、ネットショップならではの
工夫を重ねていると感心もする。

そのお店がしばらくお休みに入るとの連絡が入る。
営業再開は何年後になるかわからないとのこと。
もう購入することができないかも、もうあのポルトガルワインに
出会えないかも・・・
そう思ったら、店主に「お世話になったので一度お会いして
ご挨拶したいです」とメールしていた。
そして返事がきて、お店が休業になる前にお会いすることとなった。

ネットで顔を見ないやりとりを続けていたからこそ、会いたくなるということもある。
また閉店とか休業といわれると、会わなくてはという気持ちにも
なる。
人間だから、やっぱり対面、直接のコミュニケーションを
求めるのだ。

ネットだから、顔を見ないで終わる縁も多いが、その後ろに
どんな人がどんな顔して、どんな知恵を使ってがんばっているか
を想像すると、わくわくする。
競争の激しいネット通販のなかで、がんばってきたその店主に
お会いし、その人となりに触れることが楽しみだ。
ただ、お店が再開未定のまま、お休みになることは残念。
お店は生き物だ。
ネット時代故に、人を大切にしたいと思う。

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