「吉雪」と名付けた人を思う。

「明日は雪ですよ」
もう春に向かうと思っていたら、翌日からまた季節は逆戻り。仕事仲間が言ったどおりになりそうな
厳しい寒さが襲ってきた。
新潟市から車で魚沼の湯之谷というところまで向かう。
進むにつれ、白い粉の大きさと量が変わり、向こうに見える山々も真っ白でだんだん雪国らしい趣に。
最初は「これが新潟の冬ですよね」「でも、やっぱり今年は少ないですよね」
なんてのんきな会話をしながら、目的地の市役所にたどり着く。
4時間余りの業務を終えて、再び新潟市へ戻ろうとするが、外の景色にびっくり。
その滞在時間の間に静かに雪は降り積もり(そう、雪は静かに降るのだ)、辺り一面こんもり銀世界。
駐車場の車にも数センチ以上の雪。さすが新潟の車にはブラシなど、除雪用のツールが常備されている。
(このほか、スコップや長靴も・・)
そのブラシで車に積もった雪を落としてから、新潟市に向けて、いざ出発。
しかし4時間半前に来たときと全く違う銀世界、運転するには視界も足元も不安・・。
道路も融雪パイプがあるところ、ないところそれぞれ。
来たときとあまりに景色が違うので、標識を探しながら、ゆっくり慎重に高速まで向かう。
そう、高速に入れば安心だ。(といっても、私は助手席に座っているだけだが・・)
そして再び新潟市へと向かう。確かにトンネルを越えるごとに、雪の量が減ってきて、燕三条を通る頃には
降った形跡もあるが、空には日が差して、きれいな空色が見えてくる。
いやはや、新潟県らしい冬景色の見納めをさせていただいた1日。
雪がたくさん降ることで、きれいな水が得られる。そこで美味しいお酒、お米、野菜・・。
雪は決して、人々の敵ではなく、人々に「吉」を与えるものなんです。と
ある食品会社の社長が「吉雪」を名付けられたことを思い出し、雪国の人の忍耐と強さを改めて
思う。
春に一歩一歩近づいている。その前に、雪をしっかり見られて良かった。
目を閉じても、まだその景色がくっきり浮かぶ。

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