灯りの工場見学。一生忘れない技術者VS役者のご対面。

その会社には最近は一週間のうち、2~3回、工場見学のための
来客があるという。
商談から、公的関係者から、地元住民から、企業関係から・・。
さすがその工場見学の案内ぶりも、手慣れた感じで、
最初に通される会議室に入るまでに会社の歴史や商品、広告を展示した
ミニショールーム付ミーティングも併設。
工場敷地内ということで、大がかりな展示では
ないが、企業におけるこの工場の位置づけをしっかり伝える無駄の
ないプレゼンの場ともなっている。
ご丁寧な会社案内プレゼンを受け、特別にと見せていただいた
手作り的な会社案内VTR。
白熱電球の製造中止というのが今回の出会いのきっかけではあったが、
当社がいかに「日本の明かり」を突き詰め、人々の暮らしに貢献し続けてきたか。
また個人向けのみながらず、国内のみならず、インフラにおける照明
についても先駆者であることを知り、白熱電球の時代はまもなく終息するが、
LEDの進化に向け、新たな技術革新、そのための研究に日夜邁進されていることなど、
プレゼンや工場見学を通じ、各場面ごとに学ぶことが多く、
一瞬にしてその企業がさらに好きになった。

技術もすごいが、ここで働く人たちが真面目で、誇り高く、でも丁寧で・・
風通しが良い、一体感がある・・・そんな印象をもった。

IoTやAIという言葉には最近よく接するけれど、現場でまさにそれが
実践されているのを見ると、ロボットたちが優しい手さばき、細やかな作業を職人のごとく
がんばっているのを見ると、日本のモノづくりの現場は間違いなく世界有数
であるということも再認識。

さて今回は、企業訪問でもない留学生でもない、劇団の工場見学。
工場というモノづくりの現場を見たことがないといううら若き女優達の反応が
大変印象的であった。

まず、会議室で会社説明を受けているときも、何か言うと
「すっごーい!」
と反応。ビデオが流れても、著名な寺院や海外の美術館のライティングに
当社の技術が使われているということがわかると、
「すっごーい!」。
顔を見合わせて、表情豊かに、それこそ女優らしい表現で感動しまくり、
企業陣にもかなりのインパクト。

きっとこういった反応をする団体は他にないだろうという感じ。
さらに、工場へ。
今回とくに見たかった、まもなく閉鎖される白熱工場の製造現場。

火を使い、ガラスを使い、大掛かりな機械でもって、蛍光灯や
おなじみの電球たちがどんどん出来上がっていく。

見事な、ドラマチックな「ザ・工場」という感じ。
ここでももちろん、役者たちは「すっごーい!」を連発、
何秒に一個完成してくる電球に感動。

いい大人で、歓声を上げて見学してくれる客は少ないはずだ。
そして次は、電子部門の工場へ。
そこはきれいであるが、静か。精密工場だ。
彼女たちはそこでは歓声を上げず、静かに見学。
あとで、
「あそこは、あまりおもしろなかったな」
とつぶやく。
確かに、見せ場はない。
そして、次はロボットによる作業現場。ここでは再び
「すっごーい!!」

ということで、半日間で、何十回も「すごい、すごい」と
感動しまくった劇団の工場見学。

きっと、見学対応慣れしている企業の方にとっても
いちいち反応してくれる、感性豊かな客の応対は
さぞかし新鮮であっただろう。

女優たちとの交流は、ほんとうに少女といるようで
私自身も新鮮だ。
お互い、一緒に見た、聴いた感動をこれからの
アウトプットに生かしていきたい。
それにしても、
これまでいろんな工場見学に出かけたが
生涯忘れることができない、貴重な鹿沼での経験。

あれから、あちこちで照明器具を見ると、
あの工場を思い出す。
さぞかし、これからずっとそれが続くだろう。

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