マカオに棲んでいたんですか。

マカオ。そこには約400年前、日本での弾圧時代にキリスト教徒たちが流された。
当時、この島はポルトガル領であったため、また日本からほど近いキリスト教国
であったため、そうなったのだろうと推察する。
最近はカジノで有名になってしまっているが、私はそのことは除いて
今も残るポルトガルとの融合文化~まさにマカオ・ノスタルジーが大好きで、
なんといっても、かのフランシスコ:ザビエルが日本からインドのゴアに戻る途中、
中国での布教中、病で亡くなった川上島がマカオからも近かったこともあり、
そのためザビエルゆかりの教会がいくつかあることも、マカオへの興味が尽きず、何度か
訪ねてきた。

とくに、コロアン島。
ここはマカオの中心から車で20分ほどの島であるが、リゾート地であり、
有名なエッグタルトのお店もあり、また刑務所があったり、ちょっと不思議な島。
喧騒のカジノの町とは別世界、時が止まったような・・静かな島。
とても夜の一人歩きは怖くてできないが、ここにくるとザビエルの夢に
触れることができると、想像を膨らますに最適な場所として、とても気に入っている。

このたび、マレーシアの空港で暗殺事件が起きた。
なんと悲しいこと、なんと・・言葉にできない、映画のような話。
その殺された人、その家族はマカオに、とくにそのコロアン島にも
棲んでいたのだと今回知り、そうか、確かにそうするのにふさわしい島だと
静かに納得しながら、彼らの日々のマカオでの暮らしを勝手に妄想する。

静かな海に向かいて、ときにはザビエル教会にも出向くことがあったか、
あるいは隣島の騒々しいカジノの繁栄を見ながら、世界から異端とされる
国のリーダーの関係者たちは、何を思っていたのだろうか。
母国のこと、祖先のことをどう思っていたのだろう、自身の人生を
どう描いていたのだろうか・・。複雑すぎる人生を、マカオの島は
心ほぐしてくれただろうか。
マカオは、本当に歴史の「闇」が似合ってしまう町である。
繁栄と凋落、人間の夢と欲・・。

歴史の影の舞台としてのマカオ・・。
潜伏するには、あまりに似合いすぎて・・。
もしかしたら、マカオの空港ですれ違っていたことがあったのかも。
あの有名店のエッグタルトも食べていただろう。

とにかく、もう何も事件が起きないことを願っている。
映画や小説だけにしてほしい。

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