自宅にピアノが戻ってきて、腱鞘炎の痛みも復活して、
演劇ウィーク前の生活と同じ状態の日々が再開。
今年最初の大きな収穫は、役者という職業の皆さんとの出会い、交流だ。
稽古場で数回会い、そしてより密接になったのはいわゆる「箱入り」、劇場に
入ってからの1週間。
小さな控室で肌が触れ合うほどの近距離で過ごした時間。誰かが口に出す一言も全員で共有する・・といった
コミュニケーションの重なりが、日々一体感を増していく。
本番の成功と言った同じ目標に向かって臨む者同士、この狭い控室で過ごす時間は、結束するにはよい方法かも
しれない。
今回、初めて舞台裏と、舞台の両方での彼ら、彼女らと接した。
9回のステージは、そりゃ森光子が演じた放浪記に比べれば、何もしていないと等しいぐらいの数かもしれないが
いやいや、本番1回という仕事が多い者にとっては、なかなかのプレッシャーで継続した気力体力が必要となる。
やるたびにダメ出しもあり、一度でOKとはならないのがこういった仕事。
全員で盛り上げよう、うまくやろうという意志が共有できていないと本番も不安になる。
そのためにも、狭い楽屋は有効だった。
本番に向け一生懸命稽古をする。とくに開場30分前ぐらいは、会場では大きな声がとびかい、いろんなセリフや
発声練習の声が飛び交う。本番間近のみなさんの本気度はなかなか気持ちいいものだ。
ああ、これから本番だ~。
そして、力一杯演じ、そして終わる。
お互いにお互いのセリフに反応しながら、ひとつの作品を一緒に進めていくのだ。
チームワークが大変重要になる。
演ずる仕事には、かなりのパワーが必要だ。
自分でない誰かになりきって、生きる時間。
演ずる自分と演じられている自分。
役者という職業は面白いものだと、今回改めて思った。
まだまだ興味が尽きないし、まだまだ書きたいことがあるし、まだまだつきあいたいし、
吸収したい。
写真は今回ご一緒した役者さんたち、そして作家さんと照明さん。
いずれの職業も、瞬間の世界を創り上げる、素敵なクリエイターだ。
粒ぞろいの人たちとご一緒できたおかげで、余韻はまだまだ冷めやらない。