文明の利器(力)に、もっと感動。


写真技術や活版印刷というものを日本で始めたのは、長崎。そのことを教えてくれる歴史博物館では、
まさに不思議な経験ができる。
それは、坂本龍馬との2ショット写真。あるカメラの前に15秒静止するだけで、完了する。
まあ、仕掛けは難しくなく、そのようなセットが用意されており、
ゲストは決められた場所に立つだけであるが、
それでも、ありえない人とのツーショットが瞬時にできてしまうことは、とても興味深い。

写真の世界は現実社会を再現、複製するだけでなく、今やこのような加工も含め、
いとも簡単にできてしまうが、その技術は改めて凄いと感じる。
150年以上前は、再生・復元すら難しい時代だった。それに比すれば、今はいかに写真のことも、印刷のことも
雑に扱っているだろうか。撮れることが当たり前、復元・再現への感動は薄らいでいるようだ。
ちなみに、日本での活版印刷のはじまりは、長崎でのキリスト教の布教が背景にあった。
ドイツのグーテンベルクと同じ理由での印刷の始まり。技術革新とはそんなことがきっかけに
なるのだということにも改めて感動する。
写真の話に戻る。
今や、簡単にスマホで撮影をし、気軽に誰でも人物や風景の再現を楽しめているが、その1枚が、その
瞬間が、貴重な機会であった。撮り直すことが難しかった時代。さぞかし緊張したことだろう。
あるいはそれすらなかった時代・・・肖像画でしか記録されなかった時代をからの躍進的な進歩。
見方を変えれば、いつでも撮れる分、ひとつひとつの経験への感動も薄らいでいることもあるかもしれないが・・。

このように、
長崎には文明開化の面からも、学ぶべきものが多く、まだまだ掘り下げていきたい魅力が無限にある。
この歴史博物館、。かのスコセッシ監督も、「沈黙」の映画作りにあたり、調査に訪れたと、当館の歴史アドバイザー
が教えてくれた。

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