75歳。ますます情熱的に。アーチストに定年なしで、魅力の人生。

calros

カルロス・ガリ。この写真の紳士。彼はブエノスアイレスにある老舗のタンゲーラに毎夜、出演している歌手だ。
もう実は4回彼のステージを見聞。そのたびに、タンゴが似合うその愛と情熱あふれる歌唱と、パフォーマンスに感動し、虜になった。
写真は、プロに撮ってもらった1枚だ。観光客相手のタンゲーラではショーが始まる前に、ディナーを楽しんだお客に記念撮影サービスをしている。
私はひとりで店に行き、ディナーもとらずにただ ショーを見るために店に行く客なので、売り上げ的にはあまり貢献していないかもしれないが、今回は歌手とのツーショットをお願いしたいということで、撮影してもらった。
(ショーが始まる前に撮影し、撮影が終わるころにプリントをして渡すというサービス。
メールでのデータサービスは追加料金で対応してくれる)

カルロスは毎日このショーを生活の一部としているような感じだ。
夜の22時ごろ店に普段着で現れ、ショーが終わる23時半にはまた普段着に着替えて、帰っていく。
歩いて登場するから、きっと近くに住んでいるのだろう。お店に雇われているのだろうから。
寮みたいな?提供されている住まいがあるのかもしれない・・とあれこれ想像する。
とにかく、毎夜、世界から集う違う客に自身の歌を聞かせている。

いいな、そんな暮らし。と思ってしまうシニアライフだ。
毎日、好きな歌を歌い、観客を悦ばせ、自分も健康で、しかもそれで生活できるとしたら・・。
こんないい仕事は他にない。
70歳を過ぎると声が出なくなる人もいるが、彼は全盛そのままの素晴らしい声量。しかもユーモアがあり、人気がある。
いかに人を元気にするか、感動させるか、喜んでもらうか・・。このことを毎日、ショーで実践している。
カルロスにはだいぶ認知されてきた。
ショーの合間に、「楽しんでいるかい?どうだい?」と声をかけてもらう。スペイン語なので、よくわからないが、表情で何をいわんと
しているかはわかる。
帰り際、彼はスペイン語であいさつをしたあと、「どーも、どーも」と言った。誰が教えたか、タンゴ歌手の「どーも、どーも」。
彼からは、楽しませるショーづくりについて学ばせてもらっている。
歌には、いつも泣かされる。歌に人生がにじんでいるから。そう、先に亡くなったルーケのことと重なるのである。

アーチストは死ぬまで現役であれ。

これもこの町で学ばせてもらっている。

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