渋谷にある台湾料理店。東京に来る前から店の存在は知っていた.
かなりの老舗。何度も通った、入ったのは一度のみ。いつも昼も夜も賑わっている。
たまには、本格的な台湾料理を賑やかな店でということになり、仲間たちと約束する。
この店は10名以上のみ予約可能。こちらは4名。予約不可。しかも金曜。
この店をお気に入りの幹事が「もしかしたら待たされるかもしれませんが
なりゆきでいきましょう、とにかく18時半に店の前に集合!」とメールを
くれた。
たまたま少し早目に着いた。店のドアを開け、店内を覗いてみる。
おお、18時すぎなのに、かなり店内賑わっており、このままだと待たされるか
相席になりそう。満席になるのも時間の問題。
お、ひとつ丸テーブルが空いている。集合時間は10分後。
お店のコシノジュンコ風のお姉さんに声をかける。
「18時半にここで集合することになっていて、先に着いたんですけど
このテーブルって空いていますか?」
「へ?何名?10名以上じゃないと予約できないよ」
「4名だけど、もうすぐ揃います」
「へ?2時間で終われる?19時45分までなら」
「え?2時間ということは18時半からなら20時半ですよね?」
(信用されてない感じ)
「次のお客さんの準備があるから、本当に2時間で終わってくれるの?
みんなすぐ揃うの?そういって遅れてくるお客さんも多いからさ」
(やっぱり信用されていない感じ)
「いや、真面目な人ばかりなので、すぐ来ます。20時半で絶対帰りますから」
「絶対?」
「絶対」
「わかった。じゃ、このテーブルいいよ」
こんな問答を経て、ようやく丸テーブルをゲット。
仲間に、中で席とれましたからとメールすると、全員すぐ登場。
(みんな、店事情がわかっており、早めに参集していた)
「よかった、よかった」
全員揃って、丸テーブルを囲む。事情を話すと
「じゃ、20時半には帰ろう」
と確認し、そこから勢いよく、即刻オーダー。
さっき席をゲットするまで厳しかったお姉さんの態度が豹変した。
「そんな、一度に頼まなくていいよ。うちはすぐ料理出るから。
コックさんたくさんいるからね。」
とキッチンを指さす。確かに外国人らしき料理人がずらり並んで
仕事をしている。さすが、繁盛店だ。
そこから、そのコシノジュンコ風の姉さんは、このテーブルを気にかけてくれて
「そんなに急いで食べなくていいよ」
と申し訳なさそうに言う。
私たちは、勢いで頼んで、一気に食べて、気が付けばまだ30分ほどしか
経っていないことに気付いたときはもう満腹状態。
言われたから急いで食べているのではなく、おいしいのでぱくぱく
いってしまったのだ。
少しペースを落として、満腹と連発しながらも話し続け、
食べ飲み・・、気取らない会食時間を楽しんだ。
そして、時計を見て、20時30分少し前に会計。
すると、例のお姉さん
「ゆっくりしてもらえず、悪かったね~」
と言いながら、見送ってくれた。
この繁盛店。最初客に厳しく、後は親切。最後は確かに心が触れ合っていた。
この接客術が回転率を上げるには必要なのだと痛感。
同じ週末、同じ渋谷でも、チラシを配ったり呼び込みをしている店舗も多い中
地道に営業し続けている当店は、ほっておいても客足が絶えない。
それにしても、問答が楽しかった。
そして、久しぶりに台湾に行ったような気になった。