クラウドファンディングで制作されたアニメ映画を観た。戦時下の暮らしが本当にリアルに描かれており、これまで戦争映画といえば実写、特撮でのスケール感に圧倒されるものもあり、戦争体験がない身にとっては、現実のものと思いづらかったが、この作品は普通の人たちを題材にしているだけに、心に染み入った。
先般観て感動した「君の名は。」と比較できないが、こちらもそれに劣らぬ傑作だ。
広島、呉の町を舞台にしたこのストーリー。あまりにかわいく、ほほえましいのに、残酷で、涙が途中から止まらない。そこにやさしい風景や音楽が絡まり、たまらない気持ちになる。ああ、平和でありがたい、平和がいいんだ・・・という思いもじわじわ湧いてくる。
戦争というのは、普通の人の普通の生活を変えるのだ。ということがよく伝わってくる。
ところで、この映画で一番気に入ったのはこの映画のタイトルだ。作品のラストに差し掛かったころ、主人公が、愛する人に「この世界の片隅で、私をみつけてくれてありがとう」といったような言葉をかける。そうか~。この世界の片隅か・・。私もそうだ、この世界の片隅で小さく生きている。
その片隅でいろんな出会いがあり、別れもあり、笑いもあり、涙もあって・・。片隅の人生を多くの人が生きているんだ。間違っても世界の中心ではなく「片隅」。この言葉がとても気に入った。
しかし、
戦争は中心だけでなく、そんな片隅で静かに生きている人まで巻き込んでしまうのだ。
だから、世界の片隅で平和に生きられる。そんな世の中が一番いい。
そんなことを静かに願う。
この世界の中心ではなく、「片隅」で生きる。
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