一曲にひとつのドラマを

わがラジオ番組のテーマ曲でも毎回使い、またライブでもすっかり定番として
演奏している、エディット・ピアフの名曲「愛の賛歌」。
この訳詞は岩谷時子氏によるもの。
彼女の親友であった越路吹雪が歌うために手がけられた、その二人のおかげで今日も
この名曲は、日本人にとって最も親しみやすいシャンソン・ナンバーだ。

岩谷さんの生前のインタビュー映像を少し見た。
彼女はものがたりが好きで、物語を曲のなかに入れたいと思いながら
歌詞を書かれたとのこと。
なるほど、そうだ、そうだ。
歌曲にも、映像が浮かばない、メロディ先行の作品もあるが、
歌詞はその曲を何倍にも、何十倍も価値あるものに仕上げる。

曲のなかに物語。

私も曲を書くときは、主人公がいて・・・と一応イメージしながら作る。
時には、具体的なモデルがいることも多い。

あるお客様から
「歌詞がいいですね。聴いていると、景色は浮かんでくるようです」
と言っていただいたことがあるが、

そう、音楽には物語を入れることができるのだ。

そのために、いっぱいそのネタを毎日仕込んで、それを膨らませたい。

音楽はもう一人の自分、もうひとつの世界を創ることができるから
人々は歌い、聴くことを求め続けるのだ。

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