伝統を越えた新時代のフラメンコギタリストの生涯をドキュメンタリー風につづった映画がある。
その映画に出会うまで、その奏者のことは恥ずかしいが、存在すら知らなかった。
スペインアンダルシア地方出身の情熱的なギター弾き。
家族も皆、その仕事をし、フラメンコギターが血肉であり、純粋にその世界だけを知り育ったような少年。
天才ともいえる感性と技術をもつ。
そのギタリストは、パコ デ ルシラ という名前。のち、才能が認められアメリカにわたり活躍する。
ジャズに学び、アドリブで弦を弾くことを覚え、かつてのフラメンコの常識を覆す。
後期はヒュージョンのような6人バンドを結成し、世界を巡る。アフリカで知った打楽器を取り入れているのも特徴。
しかし後期には、フラメンコの要素も生かした独特のソウルギターの世界を完成させる。が、毎日勉強、勉強。
フラメンコ特有の力あるタッチとアドリブの自由さとギターにできる限界への挑戦と・・。
誰も聴いたことがない、コンチネンタルな音色・・。
2年前、66歳で亡くなった。映画ラスト、彼の生前のインタビュー。
人生を振り返り、フラメンコギター弾きの家庭に生まれ、
ギターに一生を捧げること、このことに「貢献できた」ことを誇りに思う・・との弁に静かな感動を覚える。
自分の人生、何に貢献できたのだろう。
わたしは、これに貢献できた・・と人生の後半にちゃんと言えるかな。
貢献できるという意味は深い。まだまだそこまで言っていない。
66歳まであと14年。社会貢献、人間貢献、音楽貢献?がんばらねば。
どんな小さなことでもいいから、自分で貢献できたと胸を張って言える人生・・、
あのギタリストの技術はまねできないが、人生との向かい方は十分学べるはず。