素朴なものにますます、惹かれる。

根っからの庶民として育ってきたせいか、また時代が時代であったせいか、凝った料理や食べ物はあくまでも特別なものであり、そりゃ高ければ美味しいでしょう~。と思うのは、今も変わらないし、
気取った店は、自分には合わないと改めて思っている。
これだけ外食産業が発達しても、味も何もわからない素人たちのネットへの書き込みにより、店の評判が左右されているこの世の中、結局美味しい店は、好きな店は少ない・・ということになる。
お店をやる側、プロからしても、中途半端では生き残ることができず、難しい時代とも思う。
売れる、話題の店になるには、一般受けしないといけない。
情報好きなお客のためか、うんちくたっぷりの商品、説明的な長いネーミングも健在であるが、アタマで食べるものは、食べる前に疲れる。

本当に美味しいものは、シンプルである。素朴である。
複雑であればあるほど、おいしいと感じられない。
と、最近ではそのように思うようになった。

そんななか、私が大好きなものは、ポルトガル生まれの玉子をつかった焼き菓子。
その筆頭はカステラであるが、パウンドケーキもエッグタルトもシンプルで
美味しい。マンマ~おふくろの味~もそうだ。
時代が変わっても、おいしさは変わらない。

そして最近、それと同じように好きで積極的にいただくのが、障がい者のみなさんが
作ったお菓子である。
クッキー類の種類は豊富で、最近では半公共施設なカフェや売店をはじめ地域の各
施設、駅でみなさんが創ったお菓子が店頭に並んでいるため、必ず手にするようにしている
が、いずれも大変安くてびっくりする。パティシエという人たちが作るお菓子と比べる
のはもちろんおかしいが、それにしても破格的に安価なのである。
こんな安く売っていいだろうか。
と心配になる。

そしてその味は・・・どこの施設のものも、シンプルで大変おいしい。
素材もシンプル、調理法もシンプル。そして障がい者の方の一生懸命さが
そこに一緒に練り込まれている。
彼ら彼女らの仕事を応援したい、売れるという自信をもってほしい、というのも
あるが、おいしいから買ってしまう。というのが本当のところ。

これからも障がい者の方の仕事をいろんな方面から応援したい。
それにしても、本当においしい。
素朴なもの、素朴な人は、一番安心である。

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